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アバカ材ロープ編み椅子修理

安田屋家具店のホームページを見つけていただき、ご訪問いただけるお客様が少しづつ増えているような感じがあります。岐阜の田舎町の小さな街の家具屋さんに全国からご訪問いただけることは本当にありがたいことです。岐阜市美殿町の安田屋家具店の実店舗では考えられないことです。でもネットの世界では現実的におきていることに感動です。

そして安田屋家具店が行なった家具修理の記事をごらん頂いた皆様から、様々な家具のご修理相談が毎日届くようになりました。いろいろなご修理が届きますが、ご相談いただいたお客様の地域にある家具屋さんは家具修理を積極的に行なっていないのでしょうか。昔ならば街の家具屋さんはきちんと家具修理を行なっていたものですが・・・・・。もっともその当時は、自店で販売した家具の修理のみを行い、他店が販売した家具の修理はしていなかったようですが・・・・。

さて今回のご相談は、アバカ材ロープを編み込んで作られた椅子のご修理です。イタリアンレストランにて業務用として使用されている椅子です。長年の使用により、特に肘の部分のロープの切れなどの損傷が大きい様子です。

アバカ材は別名マニラ麻とも言い、フィリピン原産のバナナの木の一種です。葉の繊維は強靭でしかも軽く、耐湿力があり、古くから石材を運び 出す際や船舶用のロープとして使用されてきました。そのアバカロープを使用して編み上げた家具は、ラフな素材感と繊細なデザインの両方を感じていただけるものです。

お送りいただいた写真を確認すると、金属フレームにアバカ材のロープを編み込んだ椅子でした。

お客様が一番良く触れられる肘の部分の損傷が背大きいです。ロープが切れ、ほつれ、内部の金属フレームがむき出しになっています。ここまでの状態になると、時間が経過していくごとに、ロープのほつれが大きくなっていってしまいます。もう誰にも止められない状況です。

背もたれ部分にまで、ロープのほつれが広がっています。

さてこのアバカ材ロープ編みの家具ですが、少々曲者です。
というのは、このアバカ材で製作された商品は、将来の修理・メンテナンスを考慮していません。いわば使い捨てを前提に製作されています。そのため商品の価格は比較的安価な商品が多いですね。修理・メンテナンスをして長く使用するのではなく、破損したら使い捨てて新しい椅子を買い換えるという考えです。この考えは、15年ほど前から広がったようです。レストランなどの業務用家具を納入する仕事に携わった経験から、OPEN前の初期費用を抑えるために、家具にその費用のしわ寄せが一番きました。そのため購入される家具の価格がググッと下がりました。椅子なんて1脚数千円前後で希望されるケースが増えました。

安田屋家具店としては、安ければよいというのではなく、業務用なので耐久性がよく、長く使用される家具のほうがお客様にとって一番良いことではないかと考えご提案していましたが、ことごとく却下されました。耐久性よりも初期費用を下げることに重点がおかれ、壊れたら修理するのではなく、使い捨てて買い換えるという考え方が採用されたのでした。したがって当時の安田屋家具店でも、このような事例の場合は事前に「壊れたら修理できません」ときちんと伝えてから販売をしたものでした。とはいうものの、使い捨ててしまうという考えのお客様であっても、実際に壊れると「修理して欲しい」とのお電話がありました。でも1脚数千円の椅子は、やはり構造的に修理不可能な事例が多かったです。

話を戻しますが、アバカ材ロープ編みの家具のさらなる問題は・・・・、
修理することを考えていませんので、修理・補修用のアバカ材ロープは、材料として日本に用意されていません。材料のみを入手することは不可能なようです。

部分補修は可能ですが、アバカ材ロープがありませんので、北欧家具に使用されている4㎜太さのペーパーコードを使用することとなります。そのため材質、太さが違いますので部分補修の部分と補修しない部分とに違いが出て、目立ってしまいます。部分補修の場合、破損周囲も直す事となりますので、修理費用は、1脚 税込2万円前後になるのではないでしょうか。送料は別途必要となります。尚、椅子ごとに破損状況が違うと思いますので、作業を行う前に現物を確認して再見積を行う事となります。

椅子1脚全てを張替える場合は、ご購入された金額の数倍になるのではと思いますのでお勧めできません。またアバカ材ロープがありませんので、ペーパーコードでの張替となり、今までとイメージが異なってしまうことも全張替をお勧めできない理由です。

総合的に判断して、ご使用の椅子に関しまして残念ながら当店にて修理することは難しいと判断せざるをえませんでした。

ただ唯一アバカ材ロープの入手として考えられる方法は、現在ご使用の椅子1脚をつぶして、そのロープを他の椅子の部分補修に使用するという方法がありますが、邪道な考えです。またその場合、不足する椅子1脚を新たに用意しなくてはなりません。同じ椅子があれば問題ないのですが、製造中止などで同じ椅子がない場合は・・・・・・・・、さらに問題が広がります。

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