以前ご購入いただいた各務原市鵜沼の「カフェ・ル・マシャオン」様の英国アンティーク家具のダイニングチェアーの座り心地がどうもおかしいので見に来て欲しいとのご連絡を頂き早速お伺いいたしました。「カフェ・ル・マシャオン」様の立地はいつ来てもいい所だなぁーと実感します。目の前には雄大な木曽川が流れ、対岸には国宝の犬山城が見えます。
確かに座ってみると座面の中心部がふわふわとした奇妙な感触があります。
英国アンティーク家具のダイニングチェアーは、日本のダイニングチェアーと少々構造が違います。それは座面に張ってある生地は消耗品であり、将来自分で張り替えることを前提に作ってあります。だから簡単に座面が外せるんです。木部フレームに座面が落とし込んであるだけの構造で、ネジなどで止めてありません。
イギリスでは自分自身で修理してしまうことが多いんだそうです。
家のリフォームなんかも住人自身が行なうそうです。まさにDIY「ドゥーイッツユアセルフ」です。椅子本体から座面を外します。
次に裏張りの布地を取り外します。
布地に打ち付けてあるエアーネイル(ホッチキス針の大きいもの) をマイナスドライバーを使用して布地を破かないように針を起こします。そしてペンチで針を抜きます。
裏張り布地をめくってみると・・・・・・、
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すると、座面板が中央部で割れていることがわかりました。
板が割れていては座り心地がおかしくなるはずです。
割れた部分を拡大してみると・・・・、
アンティーク家具なので古い座板をそのまま使用してありました。使用年数の経過とともに劣化し割れてしまったのでしょう。原因がわかれば修理は簡単です。この割れた座板を交換すればよいのです。といっても板を交換するにはいったん張り生地を剥がさないといけません。裏張り布地を剥がした要領で、表地を破かないように慎重にエアーネイル針を取り外します。表地を取外すとウレタンクッション材が張ってあります。
ふち周りにゴムのりをつけて接着してあります。
このウレタン材を外さなければなりません。
カッターナイフを使用して、接合部に刃を差し込んで慎重に剥がします。
ふち周りにだけゴムのりが付いているのでそれほど難しい作業ではありません。
割れてしまった古い座板を取り外します。
釘を打ち付けて止めてあるので釘を外し座板を外します。
その後、同じ形に切り取った座板( 3㎜厚の合板)を釘で打ち付けます。
新しい座板に取替えた後、剥がしたウレタン材をゴムのりを使用して座板に接着します。ゴムのりで接着しておかないと使用していくうちにウレタンクッション材がずり動いてしまいますので必要な工程です。ウレタン材の接着が終わったら表地を座板に張ります。最後に座面裏面に裏張り布を張って修理完了です。椅子本体に座面を落とし込みます。
修理完了です。
今回の修理には、木工職人の工房で合板を用意してもらい、椅子張り職人に表地と裏張りを張ってもらいました。事前の剥がす作業は四代目が行ないましたが、2名の職人を使わなければならない修理です。作業内容は簡単なんですが、人手はかかります。今回のご修理は税込5,000円でした。(送料は別途必要)早速、明日「カフェ・ル・マシャオン」様のお店にお届けです。