先日の「リクライニングチェアー修理」続きです。
座面とリクライニングチェアー本体の接合を確認すると・・・・、
背もたれと座面が、両方の接合部分に出っ張っている金具を六角ビスで止めてあります。これを外せば第一段階終了です。
次に座面と本体の接合は・・・・、
この記事の続きを読む »
どうやら、リクライニングチェアー本体の左右両側に付いている背もたれの角度を調整するためのつまみを外せば外れそうに見えますが、その先端に刺さっているステンレス材の棒が座面裏から突き出ているので、それが外せないと問題です。
後で組み直すときに、金具の取り付け位置、取り付け方法がわからなくなると組み直せないので、デジカメで現在の状態を撮影しておきます。組みなおす方法がわからなくなったらこの写真で確認すれば事足りますから。
左右のつまみを外します。
さらに座面裏に取り付けてあるステンレス材の棒の先端のビスを外してみます。すると取り付け方がわからなかったステンレス材の棒は、座面裏に差し込んであるだけであったようで、スポッと簡単に外れました。
これで座面のみを取外すことができました。
座面裏のファスナーを全開にして座面カバーを外します。
ところがカバーを外す途中で、無理に外そうとすると裏張りのファスナーが破損する状態になりかけたので、急遽、裏張りの縫製の一部を解くこととなりました。ファスナーが破損すると、ファスナー交換の修理工程が増えてしまいますので、無理は禁物です。修理作業はあくまでも慎重にです。
裏張りの縫製の一部を解けば、革張りのカバーはスルッと外れました。中身のウレタン材を取り外します。すると中から出てきたのは、パイプフレームでした。うーーーーむ。
座枠がパイプフレームだとウエビングテープを打ち付けて止められない。どうしてあるのか????
よーく確認すると、ウエビングテープの両端を縫製して輪ゴムのようにして、パイプフレームに被せてあります。縦・横ともに輪ゴム状態のウエビングテープを井桁状に被せ、ずれないようにゴムのりでパイプフレームに接着してありました。この方法では、ウエビングテープ本来の性能が発揮しにくいですね。ゴムをパンと張ることができず、多少の緩みが生じてしまいますので、耐久性が低くなってしまいます。
さらに中身ウレタンクッション材はこのウエビングテープの上にのせてあるだけなので、ウエビングテープを強力に張っておかないとクッションのへたれが早くなってしまいます。
構造がわかれば修理は簡単です。
丈夫なウエビングテープの両端を縫製して輪ゴムのようにします。長さはパイプ幅よりも少し短くします。8本用意したらパイプフレームに被せます。幅を短くしたので一人の力では被せません。二人で力いっぱいウエビングテープを伸ばし、もう一人がパイプフレームを差し込んでいきます。四代目も加わり、3人作業となりました。縦に4本、横に4本ウエビングテープを井桁状に被せます。やってみるとかなりの重労働でした。ウエビングテープを被せた後、ずれないようにゴムのりをつけて固定させます。
ウエビングテープの張替えが終わると、ウレタンクッション材をウエビングテープの上にのせます。この時、ゴムのりでクッション材とウエビングテープを接着します。クッション材がずれないようにするためです。接着剤が固まるまで1日置きます。
翌日、外した革張りカバーを被せます。この時、カバーとクッション材がずれないようにする工夫として、カバー裏側に取り付いている紐をクッション材を貫通させて座面裏から紐を引っ張り固定金具で紐を固定します。これでカバーとクッション材がずれなくなるわけです。
座面裏張りの縫製を一部解いていたので簡単に被せることができました。被せ終わった後、裏張りの一部を手縫いで縫合します。最後にファスナーを閉じて修理完了・・・・、といきたいところですが、最後の組立が残っていました。
デジカメで撮っておいた写真を確認しながら、分解した方法と逆の手順で、取外した金具を使用して組み立てます。意外と簡単に組立ができました。これで新品に戻りました。座っても座面が落ち込むことはありません。むしろ座面が固くなりました。
今回のご修理金額は、税込20,000円(送料別途)でした。カバーの脱着時に縫製の解き・縫合作業がありましたので少々金額がかかりますが、買い換えられるよりはうんとお徳です。
よく同じような座面が落ち込んでしまった修理があるのですが、今回のように早期に修理するとカバーは中身クッション材へのダメージが少ないので、ウエビングテープのみの修理ですむのですが、落ち込んだまま使用し続けると各部にダメージが広がってしまい修理金額も高額になるケースが多々あります。
どんなことかというと、ウエビングテープが伸び切った状態、切れた状態で座面が落ち込んだまま使い続けると、まず表面のクッションカバーの縫製部分が荷重に耐え切れず切れたり、破れたりします。さらに支えのない状態でのっかっているクッション材も荷重に耐えられず変形したり、壊れたりします。そうなるとクッションカバーも、クッション材も新規に作り直さなくてはならなくなるので、修理費用がさらに高くなってしまいます。場合によっては、買い換えられたほうが安価な場合も出てきます。
座面が落ち込んで「変だな」と思ったら、すぐに修理をしましょう。そんな時は安田屋家具店にご連絡下さい。早期発見・早期修理が安くつくんですよ。
« 元に戻る