先日お預かりしたイサム・ノグチデザインの「ノグチコーヒーテーブル」の板脚の塗り直しが完了しました。お預かり当初はこんな状態でした。
お客様自身で市販のニス塗装を塗られたとのことで、テカテカに輝いています。また表面はゴテゴテになってしまっています。さらにすでに塗装のはがれも生じていました。
塗り直す前に、板脚全面の塗装面をすべて削り、木地の状態にしなくてはなりません。先日お伝えしたようにこの根気が要る作業を数日間行ないました。そして再塗装です。今回使用する塗料は、ホルムアルデヒトなどの含有率がないエコ塗料のウレタン塗装仕上げです。
お客様からのご指定は、以前の色よりも濃い「ウォールナット色」でした。修理前よりも濃い色になるので特に問題はありませんでした。しかしお客様のイメージされている色と、私共がイメージしている「ウォールナット色」が必ずしも同じとは限りませんので、職人に色見本を製作させ、それをお客様にお送りしました。同時に「ウォールナット色とのご指示がございましたので、色板見本をお送りいたしました。到着しましたら色を確認して下さい。ただ現在の脚の木材の色がございますので、実際の仕上がりは、若干色見本と違いますことをご了承下さい。また色が濃い色となりますので、薄い色と比較して木目が目立ちにくいイメージとなりますのでご了承下さい。またツヤですが、色見本板は全消しでツヤがまったくない塗装をしてありますが、3分程度のほんの少しのツヤをつけた最終塗装を行なう予定です。」との修理内容についてのご説明文を同封いたしました。
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数日してお客様より「色見本板を確認しました。この色で大丈夫です。よろしくお願いいたします。仕上がりを楽しみにしております。」とのご返事をいただきました。直ぐに修理作業を開始しました。そして数日後、塗替え修理は終了したのでした。
見てください、この仕上がり具合を・・・。
半対面も同様です。お客様のイメージされている「ウォールナット色」に完璧に仕上がったと思います。以前の状態と比べてみると、
色は全く別物になっています。
表面も滑らかで、上品な艶です。
以前のようなテカテカしたいやらしい艶ではありません。
お客様もきっとご満足いただけるものと思います。
「ノグチコーヒーテーブル」はこんな状態で脚を組みます。そしてこの板脚の上にガラス天板をのせます。構造はいたってシンプルですが、なかなか思いつかないデザインです。さすが世界のイサム・ノグチです。
さてこの「ノグチコーヒーテーブル」の日本における販売ライセンスはVitra Designにあるようですが、リ・プロダクト商品等も含めていろいろな価格で販売しています。イタリア産と中国産と生産国の違いだけでも2万円前後の価格差があります。一番安い価格で3万円、高い価格は189,000円と、あまりに価格が違い過ぎますね。
しかしなぜここまで価格に差があるのでしょうか?
イサム・ノグチ氏のこのテーブルは、もともと一つしかないのです。しかもニューヨーク近代美術館の館長A・コンガ・グッドイヤーの為にデザインされたとされていますので、商業ベースでの商品では無かったのようです。そのためこれを真似た商品がコピー商品で違法であるとかそんな事はないようなので、様々な価格の「ノグチコーヒーテーブル」が市場に氾濫しているのでしょう。
この様なリ・プロダクト商品は実際に目で見て納得することが重要だと思うのです。イタリア製でも中国製でも、見た目はほとんど変わりませんが、細かいガラスのカットや、ウォールナットの色付け具合など微妙にちがうようです。あくまでも現物を見て、納得してから購入されることをお勧めします。
そうそう、イサム・ノグチ氏は安田屋家具店が立地する岐阜に非常に縁が深い方なんですよ。そして岐阜の特産を代表する「提灯」にもイサム・ノグチ氏の「AKARI」シリーズもあります。近日中に安田屋家具店でも取り扱う計画でいますが、もう少し先の話のようです。
さて話は戻しますが、今回の「ノグチコーヒーテーブル」板脚の塗替え費用は、税込18,000円でした。往復の送料は別途となります。お客様宅に商品到着後、御礼のメールをいただきました。
昨日コーヒーテーブルの脚を受け取りました。やはりプロの仕事はレベルが違うなと感じました。買った当時のイメージとかなり近いです。どうもありがとうございました。
ご満足いただけたようで何よりです
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