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秋田木工スツール籐張替

 秋田県に工場がある「秋田木工」社製のカウンタースツール「209-C」の座面張替え修理を行ないました。秋田木工は以前、会社再建を目指しましたが、曲げ木家具の需要減少、安価な輸入品の影響などによって再建がかないませんでした。そして数年前、大塚家具の子会社として生産を続けるようになりました。そのため大塚家具でしか「秋田木工」の商品を購入することができなくなりました。安田屋家具店でも、他の小売店でも「秋田木工」商品は仕入ができず取り扱えないんです。良い家具だっただけに残念なことです。

 「209-C」は、座高430、600、750㎜の3タイプがありました。また座面仕上げも、「板座」「籐張り座」「布張り座」の3タイプがありました。今回ご修理するスツールは、座高600㎜の座面が籐カゴ目編みシートになっている「籐張り座」でした。座面の籐が破れてしまったので同じ籐カゴメ編みシートで張り替えました。

 安田屋家具店でも多数販売したとってもシンプルデザインで使いやすいスツールです。特に座面が籐張りタイプは重量がとっても軽く良い椅子でした。ところが年々籐シートの原材料が悪くなり、耐久性が極端に低くなってしまったため籐張りシートは生産されなくなりました。今から15年ほど前のことでしょうか。そして現在では、ダイニングチェアー、スツールなどの座面が籐張りになっている商品はほぼ皆無となりました。生産しても1~3年ほどですぐに籐が破れてしまうほど品質が悪いため自信を持ってお届けできないからです。残念なことです。

張替え前


 秋田木工の籐座面は、消耗部分であるがゆえに将来張り替えることを前提にしています。「溝決め込み仕上げ」といって、木枠に溝を彫り、籐シートを被せた後、籐丸芯材を籐シートの上から溝に打ち込んで留めるという仕上げ方です。手編みと比べて簡単に張替えができるので費用も安価でできます。しかし手編みと比べての耐久性は50%ほどに落ちるそうです。ちなみに手編みの場合は、木部外周に1本1本籐材を差し込んでいく穴が開いていますので直ぐに見分けることができます。最近では手編み仕上げはほとんど見られなくなりました。

 さて今回使用した籐材は「五分カゴメ籐シート」を使用し、無着色の生地仕上げで張り替えました。

張替え後

 どうでしょうか。きれいに張替えられているでしょ。
 生地仕上げなので張替え当初は白っぽい色をしていますが、使用年数の経過とともに自然なアメ色に変化していきます。上の写真の張替え前の籐シートは20年ほど使用されていたので良いアメ色に変化しています。

 籐シートを着色塗装がしてある商品がありますが、職人曰く「着色塗装をすると籐材を固めてしまうこととなり、耐久性が低くなるんだよな。生地仕上げが一番いいんだけどねぇ」とのことです。自然に色艶が変化するのは、人工的に決して出せない色となりますので、その方がいいんですね。

 また同じ溝決め込み仕上げでも、工場の生産上、熟練した職人ではないパートさんや新人など、誰がやってもきれいに張れる様に、籐シートを被せた後、エアーネイル(別名タッカー針)で籐シートを溝に留めてしまい、その後接着剤を使用して籐丸芯材を打ち込んで仕上げる方法もあるそうです。一般的にはこの方法が多いそうですね。誰でも簡単に張れるようにってことで。

 ただしこの方法は、将来張り替えることを全く考えていないそうです。前出の職人が大きな工場の社長さんに聞いたところ「将来張り替えることは考えていない」と言っていたそうです。

 では何が大変なのか。
 張り替えるには古い籐シートを外さないといけません。エアーネイル(別名タッカー針)が使用されていなければ簡単なことなんですが、使用されている場合、このエアーネイル(別名タッカー針)を取り除くのがとても難しいそうです。特に木部を傷付けないように取り除く作業は難しいのです。でも古いエアーネイル(別名タッカー針)を全て取り除かないときれいに張りかえることができない重要な工程なのでキチッとやらないといけないのです。

 生産するときは将来の張替え作業のことなんかを考えないで作ることが多いようです。特に最近のダイニングチェアー、リビングソファーなどの椅子張りに多く見受けられるようになりました。張替え作業を考えないで作るので、張り替えるときに高度な作業が必要となり修理費用も高くなってしまいます。中には、張替え不可能と言う椅子も見受けられるようになりました。困ったことです。張り替えたくても技術的にできない。すると粗大ゴミとして廃棄しなくてはなりません。モッタイナイことです。

 今回の張替え費用は、税込13,000円でした。お客様宅が岐阜市近郊の小牧市だったのでお届けさせていただきました。もちろん送料はサービスです。

 ちなみに手編みの場合の張替え費用は4万~5万円前後になるようです。このような籐シート張りの椅子の張替えをお考えの場合、ぜひ安田屋家具店に御見積依頼をして見てください。きっとお値打ちで、最高に美しい仕上げで張り替えます。御見積もりは無料です。張替え部分の写真とサイズをメールにてお知らせ下さい。直ぐに張替え費用をご提案させていただきます。

 現在、日本全国の籐職人は、年々減っていっています。将来的にはいなくなる可能性が高い分野です。張替えはお早めにお考え下さい。安田屋家具店専属の籐職人は最高の技術を持っていますので、安心してお任せ下さい。

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3月 29, 2012 · Posted in 椅子張替え  
    

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