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スライド丁番金具修理

 年末に食器戸棚の扉についている金具が外れてしまったという修理を行ないました。珍しい修理内容でしたのでご紹介します。

 食器戸棚の扉丁番金具は、現在主流の「スライド丁番金具」でした。

 金具が外れてしまった部分を見てみると、ムムムムム・・・・???
 何かが足りない????

 食器戸棚本体に取り付ける金具を固定するためのビスがありません。このビスがないと金具を固定することができません。しかしこのビスは、滅多に外れることがないビスです。どうしたのでしょうか、不思議です。

 お客様にお聞きすると「掃除機で掃除をしたときに、そういえばなにかカランコロンと音がしたけど、ビスだったのでしょうね」四代目は「そうかもしれませんね」とお返事するしかありませんでした。しかし外れることは滅多に無いビスなんですが、扉の開閉をされているうちにビスが緩み、そのまま使い続けていく中で抜け落ちてしまったとしか考えられません。滅多に無い修理内容でした。

 とはいうものの、この大変重要なビスだけを販売していません。金具に付属している重要なビスなので、金具を新規にご購入いただかないとならないのですが・・・・、金具そのものは破損していないので交換する必要はないんだけどなぁー、ビスだけ何とかならないか思案する四代目でした。

 ちっちゃな部品なんだけどネェーー・・・・

 全ての扉金具を確認すると、4箇所で同じ状態となっていました。つまり4つこの小さなビスが必要です。小さい部品といえども特殊なビスなので、金具屋さんにもビスだけの販売はないよなと考えた時に、そう、ヒラメキました。安田屋家具店の備品室に、修理交換した破棄するスライド丁番金具が残っていたように思いました。そこでビスを探すために一度安田屋家具店にもどることをお客様に伝え、急ぎ車に乗り込み・・・・、

 安田屋家具店の備品室に着くや否や、破棄する予定の金具の山の中を探し始めました。折れてしまった扉側のスライド丁番金具はたくさんあるものの、本体側に取り付けるメス金具があまりありません。やっとのことで見つけた金具も、ビスの大きさやネジ込み方式が違い使用できないものばかりです。「やっぱり無いかぁー」とあきらめかけた時、ひょっと視線を向けた先に光るものが・・・・、「もしや」とその光る先に手を伸ばしてみるとメス金具が数個あるではありませんか。ビスも付いています。そのビスを金具から取外し、お客様のビスと合わせてみると・・・・、合致します。同じビスです。よかったぁーーー。数量も5個ありました。メス金具からビスだけを取外し、急ぎお客様宅に戻りました。

 お客様の食器戸棚についている金具にビスをねじ込んでみます。ピッタリ合います。これで金具を固定することができます。

 4箇所の外れている金具にビスを取り付けた後、扉側のスライド丁番金具をメス金具に差込、先ほどのビスをしっかりと締め付けて金具を固定します。問題なく金具は取り付きました。万が一のため、予備としてビス1個をお客様にお渡しし、将来金具が同様に外れた場合、ビスがあるかないかを確認し、なければこのビスを使用していただくことをお伝えしました。

 最後に、長年の使用で家具の建付けがずれてしまい、扉の水平がずれていたので、スライド丁番金具を調整して、全ての扉の水平をビシッとあわせておきました。そしてお客様に金具の使用方法についてご説明しましたが、単純なことなんですが、理屈がわからないと理解できない部分もあるので、扉の調子がおかしくなったら気軽に安田屋家具店にご連絡くださいとお伝えしました。多分この方が手っ取り早いと思います。

 スライド丁番金具は、金具のビスを調整したりすることで扉の水平を調整できる優れものの金具です。家具本体の建付けがずれていても、金具の微調整である程度修復できます。そのため現在の家具に使用されている丁番金具は、安価な家具~高級な家具まで「スライド丁番金具」が使用されています。そしてかつて主流であった「アングル丁番金具」は廃れ、現在ではカラーボックス家具にしか使用されないこととなっています。

 ただしこの「スライド丁番金具」も1個数百円の安価なものから、1個数千円の金具まで様々あります。価格の差は当然耐久性と比例しています。婚礼家具に使用されていた「スライド丁番金具」は、1個2~5千円前後のものを使用していましたので、20年、30年経過しても何の問題も無くスムーズに開閉できています。婚礼家具が高価だったのは、金具の価格を見ても納得できるんですよ。さらに耐久年数も考慮に入れれば、けっして高い家具ではなかったんですけどね。押入れにパイプつけて、もっともらしい化粧板の扉を取り付けて「ウォーキングクローゼット」なんていうさらにもっともらしい名前をつけたものが登場して以来、婚礼家具需要はなくなりました。しかし「ウォーキングクローゼット」の価格をよーく見ると、材料の割りにとてつもなく高い金額であることに早く気がついて欲しいですね。婚礼家具と変わらない価格ですよ。でも家具としてみると、材質は化粧板の安物なんですけどね。「ウォーキングクローゼット」といネーミングした建築屋さんに、皆さんだまされていることに早く気がついて欲しいです。

 押入れにパイプ取り付けただけなんですよ。
  「ウォーキングクローゼット」の実態って・・・・。

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