「30年ほど前は、日本の国産家具工場でいい家具作っていたんだなぁー」とつくづく思う一日でした。
30年ほど前に安田屋家具店にて購入いただきました「ショパン」という名前の椅子。製作したのは広島に工場がある「マルニ」です。
少し前までは、国産家具工場といえば「カリモク」「マルニ」「コスガ」の3工場が有名でした。時代は移り変わり「コスガ」は廃業、「マルニ」も製品作りにおいて当時の勢いはなくなっています。「カリモク」も当時と比べれば商品数はググッと少なくなっています。家具業界人として残念ですが、大型家具工場の大量生産時代は終焉したと思いますのでしかたがないことです。
さて話は戻しますが先程ご紹介した「ショパン」という椅子、今でも十分通用する陳腐化していないデザインです。
さらにシンプルな北欧デザインが主流の現代において、求められているデザインの椅子だと思います。
「ショパン」のデザインは、フィン・ユール等の北欧デザイナーの模倣だと思いますが、個人的に好きな椅子です。
当時のカタログを引っ張り出してきました。
1981年のマルニカタログです。
安田屋家具店では、将来の修理を考えて相当以前から大型家具工場のカタログを保管しています。
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カタログからの抜粋です。 当時の価格でチェアー1脚43,500円。
もちろん当時は消費税はありませんでした。
今、販売するとなると1脚税込100,000円前後でしょうか。
上記に掲載したカタログ写真よりも良いシルエットしていると思いませんか。
お客様からお預かりした状態です。10年ほど前に1度安田屋家具店で張替えていますので、今回2度目のお色直しとなります。
国産の椅子に見えないでしょう??
背面には「MARUNI」のロゴが付いています。
木部の材質は「ソロモンマホガニー」、塗装も痛んでいる状態なので塗り替えも行います。肘部の肘と脚の接合部には真鍮製リングが取り付けてあるのがいいんです。張替え用の布地は、ご購入当時のカラシ色にします。5月中頃には修理完了予定ですので、新品になった名作椅子「ショパン」をご覧ください。
四代目は、10年ほど前にマルニ営業担当者に「ショパン」を復活させたら絶対に売れると何回も行ったのですが、その時のマルニにはすでにこの椅子を作れるだけの技術を持った職人がいなくなっていたのでした。家具を大量生産するための社員は多数いても、「ショパン」を作れる職人は一人もいなかったのです。もしあの時「ショパン」を復活していたら・・・・、今のマルニとは違う魅力あふれる工場となっていたことでしょう。先を見る目が無くてザンネン!!!
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