TOPページ » 四代目のつぶやき » この記事

聴神経腫瘍 2年前の3月15日

ちょうど2年前、四代目に見つかった「聴神経腫瘍」の摘出手術を東京警察病院 河野先生の執刀で行なわれたのでした。時が経つのは本当に早いもので、あれから2年が経過し、いまは手術前となんら替わらない生活に戻り、元気で仕事に取り組んでいます。手術側の右耳が失聴したので、ざわついた場所での会話や、右側から声をかけられたときには聞きずらいか、まったく聞こえない状態ですが、それ以外はふらつきやめまい、顔面麻痺もなく、普通に生活しています。聞きづらいといっても、まったく聞こえないわけでもなく、普通に手術前と同様の会話は成立していますし、人の話も聞こえていますので、なんら不自由は感じません。

手術後2年が経過したので、時系列に合わせて東京警察病院にて2011年に行なわれた四代目自身の手術体験記を再掲載しようと思います。今、聴神経腫瘍で大きな不安を抱えておられる方々の一助となれば幸いです。

河野道宏先生は、2013年4月から東京医科大学に主任教授として異動されます。そのため4月以降の手術などの詳しい情報は河野先生のホームページでご確認ください。【脳神経外科医 河野道宏先生のホームページ】

3月15日 手術後12日目



毎朝の日課である血圧・体温を測り終えて直ぐ8時50分、1階のCT撮影室で撮影する。何回目のCT撮影になったか忘れてしまった。
今日1日過ごすコーディネートです。

9時40分、担当ナースが3回目の洗髪に来た。
洗髪室に向かう。

痛む感覚はないものの、まだ洗髪は緊張する。

前回と同様、洗髪台の下で拳を握る。
身体全体に緊張が走り、硬くなる。

シャァーーーーー

心地よい温水とともに優しいソフトなタッチで洗髪された。
傷口を優しく触れているが、感触は伝わってこなかった。やはり感覚がまだ無いようだ。小心者にとっては助かる。
「縫合傷の治りきれいに治ってますよ」
「ほんとですか。よかった」

シャァーーーーー

洗髪が終わり、担当医による消毒作業まで病室内で待機。その間に傷口の写真を撮っておくことにした。今はとても見る気になれないが、退院後にきっと見たくなるだろうなと思ったので、記録として残しておこうと思った。

傷口を縫合した糸の縫い方がよくわかる。(この写真を本人が見たのは退院後2ヶ月が過ぎてからです)

2分後、担当ナースが呼びに来た。診療室に向かう。すでに担当医が待っていた。傷口を見ておもむろに言った。

「きれいに治ってますね」
「きちんとくっついていますね」
「全抜糸しましょう」
「えっ、明日では・・・」
「大丈夫です。今抜糸しましょう」

それは突然始まった。
気持ちの整理がまだできていない。そんな思いをよそに準備がされた。
パチン、パチンと乾いた音が診療室内に鳴った。そして糸が抜かれた。痛みはまったく無かった。3分程で全抜糸が終わった。

「はい終わりました」と言い、圧迫包帯を巻いた。
「明後日に再度CT撮影して、問題なければ包帯を外しましょう」
「そして何もなければ・・・、残り1週間で退院ですね」

眼鏡をかけるときは包帯の下に眼鏡の枝を入れて・・・、

担当医がさりげなく言い、思いがけなく聞いた言葉。「退院」複雑な心境である。
この衝撃的な出来事があった以外、この日は何も無かった。体力も手術前に戻っているが、病院からの外出はできない。運動不足になる。病室内で屈伸運動をした後、ベットの上で回復に専念するため休む。午後はラウンジで過ごす。

夕食前に担当医2名が病室に来た。順調な回復振りを見て二人とも笑顔になった。日中、眼鏡をかけて見ると多少ピントがぼやけることを伝えた。「慣れていきますので心配ないですよ」の声に安心。日中眼鏡をかけたまま過ごしたせいか、入院前と同じように違和感無く見えるようになったことに気がつく。朝起きた時点、午前中もこのまま違和感なく見られるか明日確認したくなる。

病室内に新しい患者がいた。
同じ聴神経腫瘍患者であった。
明日、手術説明。
明後日、手術当日。
不安げな顔を見て、2週間前の自分を見た。
主治医はもちろん河野道宏先生。担当医は同じであった。まさに2週間前の自分がいた。

全抜糸した傷口にズキンという痛みが一瞬走る。縫合箇所でのはじめて痛み。感動。切れた神経がつながっ瞬間なのだろうか。感覚がなかった頭部の皮膚に感覚が戻ってきたのを感じる。夜間、全抜糸した縫合箇所が少しうずく感じがした。耐えられない痛みではない。むしろ治って行く過程での心地よい痛みに思えた。「退院」の言葉をかみ締め気持ちを新たにするためレンタルパジャマを取り替えた。

手術後12日目の顔面表情の状態です。

「いぃーーーー!!」も言えます。
「あーーー!!」も言えます。
ギュッと顔をすぼめることもできます。

「いぃーーーー」から、左目のウインク。問題なし。
右目のウインク。うーん、両目をつぶっているみたいに写っていますが、本人は右目のウインクをしているんです。もともと右目のウインクは左目のときと比べて大きく片目は開かなかったのですが、ここまでつぶっていることはなかったです。まだ手術の影響が出ているようです。ただ顔面麻痺は全くないようで、安心、安心です。

この記事の内容が役に立ったら共有してね!
3月 15, 2013 · Posted in 四代目のつぶやき  
    

Comments

Leave a Reply

Verified by MonsterInsights