安田屋家具店の経理は、昔のままの手作業で行っていましたが、何かと大変であり、世の中の変化のスピードが速くなっているので、数年前にパソコンを使用する方法に切り替えたのでした。そのときにいろいろな会計ソフトを比較検討した結果、『会計や申告など、業務にご利用いただくソフトですから「長くソフトを使いたい」と思って使い始めていただくお客さまは少なくありません』というキャッチフレーズを信用して、ソリマチの会計ソフトを導入したのでした。
そして現在では、経理事務全般を四代目の奥様にお願いしています。その奥様から昨日素朴な疑問が寄せられました。 「今度4月1日から消費税が8%に変るけど会計ソフトは対応しているのかな????」
もっともな疑問です。
四代目もなんとなく思っていたことですが、導入した時のキャッチフレーズ『「長くソフトを使いたい」と思って使い始めていただく』と言っていたのだから、ちゃんと将来を見据えて、消費税率を変えられるようになっているものだと思っていたのでした。 だってこの世の中、いつ、何が変るかわかりませんからね。消費税だって上がる場合も、下がる場合も、いやいや消滅することだってありうるわけですから、その辺のことをちゃんと考えていることでしょう。税率を変えられることなんか、ちょちょいのちょいってもんで、ソフト製作時には簡単に作れてしまえることなんですからね。
でもちょっと不安になって調べて見ました。
すると意外な事実が・・・・、えっ!!! そうなんですかぁ!!
ほぼ全ての会計ソフトでは、自分で消費税の税率設定を変更できない構造になっています。そもそも消費税率を変更する欄がないんですよ。知らんかったぁーーー!!!
よく知られている会計ソフト会社のQ&Aを見てみると
「Q: 自分で税率を変えられますか?」
「A:法令で定められた税率で正確に計算されるようにするため、お客様側では税率を変更できません。弊社が新消費税率に対応したプログラムを作成して提供いたしますので、新消費税率に対応したプログラムの導入をお願いいたします」
つまり消費税率は法令で変わるので、中小企業自身が自分で税率を変えなくてもソフト会社側で変えるからいいではないか。新製品を購入すればよいではないか…という考えですな、これは確実に。しかも来年の2015年10月1日からの消費税10%が予定されているので、そのときにまた買い換えなければならないのかを考えなければならないわけです。
いやぁー!、したたかなもんですわ。
つまり一度導入した会計ソフトを使い続けるならば、消費税率が変わるたびに新製品を購入しなければならないということである。一度使うとその操作方法などになれてしまい、いまさら他の会計ソフトに乗り換えるなんてことはしませんからね。足元を見られた姑息な手段ですな。
とはいえ、そうしないと一度購入されたらその後の購入はなくなるわけで、売上も先細りとなり、ゆくゆくは倒産ってことになってしまうわけですから仕方がないことではありますか。家具は耐久消費財ですが、会計ソフトは消耗品ってことですね。
今のところ消費税率を自分で変えられる会計ソフトはとても高価な「PCA会計や勘定奉行」の二つくらいみたいですね。街の家具屋さんには手が出ない価格です。そこそこの価格である「弥生会計や会計王」は、税率が変るたびに買い換えないとならないようです。どちらがお徳かじっくりと検討しないとなりません。
安田屋家具店は今使用している会計ソフトの来年10月1日以降の消費税10%になつても対応している最新バージョンを買い換える考えでいます。おっと在庫管理も同時に連携して行っているソフトも購入しないとならないので、うっひゃーーー!!、10万円近い出費です。街の小さな家具屋さんにとっては、このご時勢、痛い出費です。
テレビのデジタル化移行による強制的なテレビの買い替え、消費税率変更に伴う会計ソフトのいわば半強制的な買い替え、アベノミクスの景気回復は、このような姑息な手段で仕組まれているのでしょうかね。「累計出荷本数も100万本を突破」したと言っている会計王シリーズは、全て買い換えられるわけではないけれども、半分と仮定して、比較的安価な価格としてでもですよ、42,000円×50万=210億円。その中の消費税は10億円てっことですよ。ソフト会社にとっても200億円以上の売上が見込めるわけですから、今回の安部首相の消費税率アップは、ソフト会社にとっては願ってもないまさに千歳一隅のチャンスなわけです。これを逃したら、そうそう税率変更なんてことはおきませんから、あの手この手でがんばることでしょうね。
それにしても四代目は常々「会計ソフトって毎年バージョンアップして販売してるけど、一回購入したらそうそう買い換えるもんでもないし、毎年毎年機能が大きく変わって便利になることもないし、なんでバージョンアップするのかな」と耐久消費財を日々販売している街の家具屋の親父として思っていたのですが・・・・、消耗品としてならば理解はできますね。それぞれ業種は違うものの、商売ってのは大変ですな。