TOPページ » 家具リフォーム・修理 » その他の家具修理 » この記事

凹んでしまった肘修理

安田屋家具店から車で30分ほどの関市内、桐たんす職人の柴山五郎氏の工房からほど近い場所に立地する歯医者さんから、待合の両肘椅子の肘部分が破損したので修理のご相談があった。

Y様からのご相談
お世話になります。 椅子のアーム部分のクッションが潰れて凹んでいます。 修理可能か金額等教えていただけたら有り難いです。 どうぞよろしくお願いします。

安田屋家具店からの返信
写真からの判断ですと、肘上部のウレタン材が単純にへこんでいる症状ではなく、内部の木部材が割れているのではないかと思います。

現物で実際の状況を確認しないと、修理の可否の判断ができません。また現在の張地を取外してそのまま使用できる仕上げ方なのかも確認しないと判断できません。ご都合の良い日時にお伺いして、実物を確認させていただきます。

メール後、ご訪問日時を打ち合わせて実物を確認した。
四代目は、椅子の基本構造は板で肘部、背面部、座面部を形作り、その上にウレタン材で覆っていると考えた。そして肘部分のヘコミは、木型の上にのせてあったウレタン材が落ちてしまったのではと考えた。現物を確認して驚いた。

肘のヘコミ部分を触ると、内部構造のパイプフレームをつかむことができた。基本構造は木型ではなく、パイプフレームであることがわかった。背面、座面、肘部は分解できるようになっている。なぁーるほど。

今回の椅子の構造は、背面、座面、肘部それぞれ芯材にパイプフレームを使用している。それぞれの型枠の中心に芯材となるパイプフレームをセットした後、ウレタン液を流し込み発砲させて形作られている。「モールドウレタン」と言われる作り方である。

「モールドウレタン」材の各部分に、カバー状に縫製した表生地を被せて、見えない下部分でタッカー針で止めて、椅子を形作っている。ヘコミのある肘の下部を確認すると、表面の合成レザー生地がタッカー針で止めてあった。

であれば、修理作業はまず、座面裏側の裏張り布地を外す。座面と肘を連結してあるボルトを外す。取り外した肘部分の下部のタッカー針を外し、表生地である合成レザーカバーを外す。

表生地を取外して内部のウレタン部分を確認すると、肘上部のウレタン材はパックリと裂けていた。芯材である内部のパイプフレームが見える。さらに、

肘外側側面のウレタン材に亀裂が入り折れていた。これが原因で肘が凹んでいたんだとわかる。この亀裂が入った部分に特殊な接着剤で亀裂を接合する。次にぱっくりわと裂けていた上部のウレタン材も接合させる。

強度を増すために補強材としての布地カバーをつくり被せる。

取外してあった表生地カバーを被せ、下部でタッカー針で止めて仕上げる。最後に背面、座面、両肘をボルトで接合し、座面裏側の裏張り布地を張って完成させる。元通り修復できました。

 修理前

修理後

今回の修理費用は、税込20,900円(2022年2月時点)です。
岐阜市の隣、関市内でしたので、引取・お届けは四代目が行い、送料無料にさせていただきました。

しかし、それにしても、今回の破損は、パイプ枠とウレタン材が一体となっている構造なので、通常では起こりえない壊れ方です。考えられるのは、ウレタンを発砲させる際に不具合があり、弱い箇所が生じ、そこにたまたま強い力が肘上部を外側に押す方向で加わり、ウレタン材が折れたのではないかと考えます。

さらにそのまま使用し続けたため、肘上部のウレタン材が少しずつ割れていき、現状のようになったとしか考えられません。通常では起こりえない破損状況ですから、恐らく他の椅子は今回のような破損はまずないと思います。

この記事の内容が役に立ったら共有してね!
2月 18, 2022 · Posted in その他の家具修理  
    

Comments

Leave a Reply