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いまだのたんす ビーダ

「カリモクの洋タンスのスライド丁番が何ヶ所か壊れ、戸がはずれてしまいます。また 他の戸も上手く閉まらなくなっています。出張して頂き 修理して頂きますとお幾らぐらいでしょうか? 自宅の場所は岐阜市内です」

安田屋家具店からの返信
修理費用ですが、スライド丁番金具は種類によって価格が違いますが、約1,500円前後です。取り替えるスライド丁番金具が現存していて、扉などの木部の補修が必要ない場合は、出張技術費が別途約5,000円~10,000円前後となります。扉の枚数や内容によって価格が変ります。カリモク製のたんすなので、ご修理されることをお勧めします。一度ご都合の良い日時をご連絡いただければ、ご訪問させていただき、どの金具を使用しているのかなど実物を見させていただいて、正確な御見積金額をご提案させて頂きます。見積までは無料で行ないますので、ご安心の上、お気軽にご連絡ください。

お問合せへのご返信後直ぐにお客様から出張修理の依頼があった。安田屋家具店から車で10分程度の近い場所でした。たんすが設置されている部屋に案内されてたんすを見ると・・・、カリモク製ではありませんでした。カリモク製よりもはるかにグレードの高い高級家具です。ちょっと前まで「婚礼家具」と呼ばれていた、洋服タンス、整理たんすのセットです。2間の長さの、あっ、今では2間(ニケン)の長さって知らない人の方が多いのでしょうね。2間(ニケン)とは畳2枚分の長さで、約360cmの長さです。日本古来の長さの表し方です。
たんすを見た四代目は直ぐにどこの工場の商品なのかがわかった。

いまだ1

広島の「いまだ」という工場の商品です。

扉のナラ無垢材で縦ルーバーデザインは、「いまだ」デザインの代表的なたんすです。一目見てわからない家具屋はプロではありませんね。家具屋30年のプロの目を持つ四代目だからこそ見極められるというものです。てなことはないか・・・。

「いまだ」の商品は安田屋家具店でも主力商品として取り扱っていました。当時、数多くのタンス工場が「いまだ」デザインを物真似したちょっと価格の安い商品を出していました。もっとも売れたデザインは「ビーダ」でした。

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上の写真は20年前に「婚礼荷出し」という慣習にのっとって、婚礼家具をお届けしたときの写真です。お届けしてから20年後の先日、このお客様がご自宅を新築されたことにより追加家具のことでご相談がありご訪問した際に、当時と替わらない新品同様の、さらにまったく陳腐化していない「いまだ」デザインを見させていただきました。当時この家具をお勧めした四代目のセールストーク「時代の流行に左右されない一生物の家具です」の真意が20年経過してやっと伝わったことを感じました。

さてこの商品は20年ほど前に一世を風靡した「いまだ」デザインでした。この「ビーダ」で思い出すのは、岐阜市内では安田屋家具店とHトリ家具の2社が展示していたのですが、「いまだ」の担当者から「Hトリ家具さんが先に展示していただいたので、岐阜市内における「ビーダ」商品に関してはHトリ家具さんのみで販売することにします。安田屋家具店さんには他のデザインの展示をお願いしたいのですが」と突然の依頼があった。四代目もスタッフ一同もあきれてしまった。大手家具店の無理押しに工場としては歯向かえないんだなぁーと、つくづく零細家具店の悲哀を体験したのでした。

とはいえ安田屋家具店での売れ筋婚礼家具でしたので、引き下がることはできず、粘りに粘って、「Hトリ家具は両開きタイプ、安田屋家具店はスライド扉タイプと同じデザインの中でタンスの種類を分けて展示・販売することで合意されたのでした。しかしこの「ビーダ」その後も人気が衰えず、ついにはHトリ家具店が工場に「岐阜市内での販売は当店だけにするべし」てなことを言ったらしく、工場から安田屋家具店での「ビーダ」の出荷はできないとの連絡があったのでした。その時点で安田屋家具店にはまだ「ビーダ」スライド扉タンスと整理タンスが展示してあったので、「そんな無理な話はないだろう。出荷できないのであれば、展示している家具を販売できないことになるのであるからどうしてくれるんだ」と言うと、

「展示商品を引き取り、他のデザインのタンスの展示をしていただきたい」
「他のデザインというが、この「ビーダ」デザイン以上のものはないと安田屋家具店は考えている。いまさら他のタンスに変えられない。展示商品を引き取るのであれば、お客様に販売する定価で引き取るのは当然だよな」
「いや定価で引き取るということは・・・・」

というようなすったもんだのやり取りがあったのですが、結局は大手家具店の力にはかなわない零細家具店は敗北し、展示商品は現品処分として販売し、別のデザインを渋々展示したのでした。

苦い思い出です。

でもそのHトリ家具も婚礼家具重要が無くなったことにより今は廃業し存在していません。さらに婚礼タンス工場として一時代を築いた「いまだ」デザイン、その「いまだ」は規模を縮小しテーブルやTVボードなどを製作しています。かつて広島市中心部にあったレンガ造りの豪華な邸宅を思わせるショールームも今はなくなったとうわさで聞いています。時代の流れですね。

スライド丁番金具修理の話から、四代目の苦い昔話に話が飛んでしまいました。話が長くなってしまいましたので、肝心な修理の話は次回に続きます。

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2月 28, 2013 · Posted in たんす  
    

Comments

One Response to “いまだのたんす ビーダ”

  1. 神楽嶽 on 4月 23rd, 2013 5:55 PM

    はじめまして。 ビーダの洋服箪笥を使用中の者です。 「いまだ ビーダ」でググってこちらにたどり着きました。

    当時のいまだ及びビーダの位置付けがどのようなものであったか、リアルに知ることができました。 ありがとうございました。 

    勝手ながら、当方のブログにこちらのページへのリンクを張らせていただいています。 もしご迷惑でしたら外しますので、その旨おっしゃってください。

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