TOPページ » 家具リフォーム・修理 » 家具金物(扉用アングル丁番etc) » この記事

ブックマン書棚の丁番

山形県の生活協同組合様から破損金具が届きました。

「ブックマン・Bookman」という商品名のスライド書棚の扉に使用されていた金具が破損したとのことです。サイズの確認方法がわからないので、破損金具現物を送っていただいたのです。

ちなみにスライド書棚ブックマンとは、静岡に工場があった丸伸(マルシン)という工場が生産していた商品です。およそ40年前に誕生した丸伸のブックマンは「3倍入ってまだあまる」をキャッチフレーズに愛読書の方に長年愛されていました。しかし需要の低迷により惜しまれつつも製造中止。家具事業からは撤退して、現在は不動産業を静岡市内で行っているとの噂を耳にしました。

発明家、アイデアマンの丸伸の石川孝一会長がスライド書棚を発明し、一躍大ヒット家具になりました。

安田屋家具店も発売当初からブックマンの岐阜県代理店になり、数多く販売しました。まだ四代目が修行先から戻ってくる前の話です。ちなみに丸伸(マルシン)はもともと「バンビ印」のベビー家具を生産していた工場でしたが、スライド書棚専門に移行しました。

ただその後、スライド書棚の模倣品が低価格で出現したり、次々に二匹目のドジョウを狙ったスライド書棚以外の洋服収納や食器収納などのアイデア家具を製作するのですが、ヒット商品には育ちませんでした。

さらに本業のスライド書棚も製作工場が何度も変わり、徐々に品質が悪くなっていったのを覚えています。またスライド書棚商品の種類が1年ごとにモデルチェンジするため販売しづらい商品になっていました。

スライド書棚そのものの需要が激減したころ、丸伸(マルシン)の販売方法も変わりました。スライド書棚を仕入れて展示して販売した後、販売した商品を仕入れて自社で配達するという従来の仕組みから、各家具店が販売した後は丸伸(マルシン)が配達を行い、お客様から集金して、仕入れ価格を差し引いた利益部分のみを家具店に戻すという仕組みに変わりました。

このあたりから少々おかしくなってきたなと感じた四代目でした。自社で配達したいと言っても、丸伸(マルシン)が配達するシステムに変更してくださいと言われました。

「いやいや、しかし、丸伸(マルシン)の商品であっても、お客様は安田屋家具店で購入したわけで、お客様にとっては安田屋家具店の家具と思われるわけで、配達するのは自社でなければダメです」と言っても聞いてくれませんでした。どうしてもと言う場合は、仕入れ価格が少し高くなってしまう仕組みでした。資金繰りが厳しいのかなぁーと四代目はその時思ったのでした。

仕組みが変わった当時、安田屋家具店でのスライド書棚の販売はほぼほぼ無かったのであまり影響はありませんでした。しばらくしてから丸伸(マルシン)が家具事業から撤退したということを聞いたのでした。さもありなん。

さて話は戻しまして、扉1枚に上・中・下の3か所に丁番金具が取付けてあり、3か所とも破損したようです。破損個所はいずれも同じ家具本体側に取付ける長方形部位がポキッと割れてしまっています。

3か所の金具は全て同じサイズでした。扉側20mm、家具本体側20mmの「20-20」サイズです。

金具にはK刻印があります。

金具の円形部位のサイズも確認してみます。

まったく同じ金具を安田屋家具店では取り扱っています。全く同じ金具なので、ネジ穴位置もほぼ同じです。そのため現在のネジ穴をそのまま使用できるので簡単に取り換え修理ができます。

このK刻印の金具は一度生産を終了したのですが、その後金具の金型を譲り受けた日本国内の工場が復刻して生産をしてくれています。現在は九州地方のとある工場で生産していると家具修理用品問屋の営業マンが言っていました。金具屋さんではこのK刻印の金具は取り扱っていません。なぜだか金具屋さんではなく、家具修理用品問屋が取り扱っています。そのため市場にはほとんど出回っていない金具です。

金具屋の大将も「K刻印の金具はすでに生産終了で現存してないぞ、何で安田屋家具店さんにあるわけ??」と不思議がっていましたからね。形状がよく似ていて、Kが刻印されていないノーブランド金具をたまに見かけます。

それは恐らく廃業した日本国内の工場から金具を買い取り、中国に輸出して、中国の工場で代替え金具用として生産している商品だと思います。形状はほぼ同じですが、大きな違いは使用されている素材です。

日本国内の工場の金具に使用している素材は不純物が混じっていない合金を使用しますが、中国の金具は不純物が混じった合金を使用しているそうです。そのため価格は安いが、耐久性も低いとのことです。

日本国産品があるうちは、少し価格は高いですが耐久性を考えれば、日本国産の金具をお勧めします。高い安いといっても金額の差はほんのわずかですよ。

安物買いの銭失い

先人の教えは間違っていないと思います。
金具は1個税込み530円です。取付ビスが6本付属します。(金額は2019年11月時点。その後ご覧になられた場合、価格が変動している場合がありますのでご了承ください)

この金具は365日24時間、いつでも安田屋家具店オンラインショップにてお買いもとる頂けます。ぜひご利用ください。

この記事の内容が役に立ったら共有してね!
11月 10, 2019 · Posted in 家具金物(扉用アングル丁番etc)  
    

Comments

Leave a Reply

Verified by MonsterInsights