四代目と同じ苗字の「鷲見(スミ)」様から食器戸棚の丁番破損に関するご相談がありました。「鷲見」の名字が多い岐阜市曽我屋のお客様宅へ早速お伺いいたしました。
ナラ材のしっかりとした作りの家具でした
うっかり食器戸棚の写真を撮り忘れました。。
20数年ご使用になられているとのことです。
破損した丁番金具を確認すると、すでに生産終了し、在庫も無くなり、現存していない丁番金具でした。
たしかこの丁番は「NOEMA」ブランドの金具ですね。
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古いカタログを確認なすると、全カブセ、半カブセ、インセットの3タイプあったようです。
この金具はかなり古い金具で、同じ金具は残念ながら現存していません。
5年程前に四代目が、金型を譲り受けた別工場が中国で生産していたノーブランド品金具を発見して販売していた時期もありましたが・・・・、
それもすでに生産終了しました。在庫も無くなり現存していません。今も時々「NOEMAの丁番ありませんか」とお問い合わせをいただきますが、残念ながら現存していないのです。
中国でノーブランド品として生産していた工場に直接、再生産をして欲しいと懇願しましたが、需要がほとんどないことからすでに金型も廃棄してしまったので再生産はできないとの返事でした。
金型を作り直すとなると、金型費用が百万円以上するようですし、金型を作ったとしても何千、何万個と金具を作られても安田屋家具店で買い取ることはできません。また金型費用や、買取った金具の在庫期間の保管料などを含めると金具1個の単価がべらぼうな金額となってしまい、現実的ではないこととから、再生産はできないと工場の返事に従いました。
需要と供給の問題ですね。
需要が無ければ、供給、つまり生産は無くなるのです。
話を戻しますが、今回の現存しないNOEMA丁番は、現在主流の「スライド丁番」に取り換える修理となります。
破損した丁番が取付いていたのは、3枚扉の内で頻繁に開け閉めを行う真ん中の扉でした。ただ金具が現存しないことと、いずれ他の扉の金具も破損することを考えて、全ての扉の丁番を取替えることにしました。
1枚の扉に金具3個が取付いているので、合計9個の取替です。
ガラス扉3枚をお預かりして、早速職人工房に持ち込みます。
破損金具の金具円形部分のカップ径は30mmです。扉にあいている金具をはめ入れる穴の直径も30mmです。
取替えるスライド丁番のカップ径は35mmです。そのため扉にあいている穴を彫り広げなければなりません。スライド丁番金具の円形部分がピッタリはまるような正確な円形に彫り広げる必要があります。隙間があると取付け後の扉の開閉に支障が出たり、金具の破損につながるからです。
職人の技術に任せます。 つづく
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