N様から、今は無き「コスガ」製食堂椅子 1085DCの背面籐シート材の張替相談がありました。
この椅子は安田屋家具店でも多く販売した商品です。1993年カタログでは1脚税抜き25,500円となっています。31年前の価格ですからね。今なら3倍近い価格になっているでしょうね。
N様からのご相談
コスガ製チェアの籐背面の修理を検討しており、お見積りなどご相談したくメール致しました。(4脚あり) ご検討よろしくお願いいたします。
使用されている籐シート材は、耐久性が最も弱い「四ツ目編み籐シート」です。木部渕部分にあたる籐シート材が後方伸びたことで破れてしまっています。経年劣化で起こる症状です。
安田屋家具店からの返信
当店でも販売していた椅子です。
同じ椅子の背面籐シート材の張替も数多く手掛けています。
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現在使用されている籐シート材は「四ツ目編み籐シート」となります。強度が低い材料のため、現在ではほぼ使用されません。また木部フレームとの一体感を演出するため、籐シート材にも塗装仕上げが行われています。 籐シート材に塗装仕上げを行うと、籐材を塗料がコーティングして弾力性が失われます。強度が低い材料の上に弾力性が失われているため、籐シート材が破れやすくなっています。
破れの状態はほぼ同じです。木部フレーム枠に沿って籐シート材が破れている場合がほとんどです。これは背もたれに荷重がかかると籐シート材が後ろ側に押し出され、籐シート材があっている木部縁部分の籐材に無理が生じ破れてしまうからです。
本来、籐シート材は塗装仕上げをしてコーティングをするのではなく、生地の状態で使用する方が強度が高いのですが、工場は耐久性よりも見た目を重視するので、強度が低くなってしまう塗装仕上げを行うのです。
当店での張替の場合、塗装仕上げを行わない生地仕上げでの張替となります。そのため籐シート部分は白っぽい色となります。
張替直後は今までとは違った雰囲気になり違和感を感じますが、年数が経過するとともに籐シート材はアメ色に変色していきますので、徐々になじんでいきます。ただし現在のような塗装仕上げの色までは濃くなりません。
張替でお勧めするのは、強度が最も高い「五分カゴメ編み籐シート材」を使用する方法です。背面サイズが大きいので、現在の「四ツ目編み籐シート材」ではなく、「五分カゴメ編み籐シート材」を使用されることをお勧めします。
「五分カゴメ編み籐シート材」の場合も塗装仕上げを行わない生地仕上げとなります。張替費用をご案内します。
現在と同じ「四ツ目編み籐シート材」を使用し、無着色・無塗装の生地仕上の場合 1脚税込 18,000円 往復の送料が別途必要です。
強度の強い「五分ガゴメ編み籐シート材」を使用し、無着色・無塗装の生地仕上の場合 1脚税込 16,000円 往復の送料が別途必要です。
椅子木部フレームにガタツキが無ければ、買い替えられるより張替されることの方が安価です。ただ座面も当然劣化していると思いますので、座面張替がこの椅子の場合1万円~15,000円程度となるかと思います。そのため背面・座面共に修理する場合は、買替金額か、修理するか判断に迷うところです。
ただ最近の安価な椅子の耐久性は落ちていますので、現在使用されているコスガ製椅子よりも使用年数は少ないです。
ご検討いただき、張替を希望される場合はぜひ安田屋家具店にご用命ください。
N様からの返信
分かりやすいご説明、ご返答ありがとうございました。承知いたしました。個人的にはこの椅子の地味で主張のないところが気に入っていたので、四つ目仕様が希望ですが、また送料の負担もそれなりになりますので少し思案しております。40年近く愛用しましたが、今回2脚はまだ症状が軽く、時期を分けての修理を考えております。
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