お客様からソファー張替のお問合せがあった。
トーゴのソファ2人掛けを使用しています。もう13年になるので張り替えたいのですが、Iランクの691(オレンジ)にできますか?
「トーゴ」とは、フランスのリーン・ロゼ社のソファーです。
見たことがあるって思う人が多いのではないでしょうか。
このソファーを見て何かを想像しませんか。
実は蜂の腹部分をモチーフにしたデザインなんですよ。
この「トーゴ」ソファーは、1960年代にウレタンフォームが新しいクッション素材として注目を浴びた時期にこの素材は、デザイナーに新しいデザインの可能性を想像させる画期的な素材でした。
力強いハチの腹がデザインモチーフとなった「トーゴ」ソファーは、ウレタンフォームの素材とヌードを包み込むカバーのアイデアが一つとなって創られました。アイテムの組合せにより、自分のスタイルに合わせたくつろぎを得ることができるソファーです。軽くて移動も楽にできます。同じような形態としては、スウェーデンのイノベーター社「バルーン」ソファーがあります。
4種類のウレタンを組み合わせて芯材とし、表面のカバーはフェザータッチポリエステルファイバーをつけています。発売時には相当な人気商品でした。発売してから今年で40年が経過しますが今でも人気は衰えていません。
がしかし、ニセモノが数多く出回るようになりました。価格は半値以下。今流行のアウトレット家具店にも低価格なニセモノが展示されています。ニセモノはやはり耐久性が悪いです。ソファーの中身がウレタンフォーム材だけなので、ニセモノのウレタン素材の品質が悪く、数年で型崩れがおきてしまいます。そうなったらもうソファーとしてはとても座り心地の悪い椅子になってしまい、数年で粗大ゴミになるでしょうね。
「トーゴ」ソファーの本物とニセモノを見分けることは簡単です。椅子の底面を見れば一目瞭然です。
本物は底面の布地に「roset FRANCE」のロゴマークが描かれています。これがなければニセモノです。必ずソファーの底面を見てください。
さてウレタンフォーム素材が主素材なので、表面の布地はカバータイプとなっています。そのため非常に 縫製が難しい種類です。張替というよりも、カバーを作り直すという作業となります。当店専属の職人に過去トーゴソファーを張替(カバー製作)を行なったことがありますが、縫製技術の部分でオリジナルのデザインを損なってしまいました。特に布地のしわのより方などにより、ソファーそのものの型が崩れてしまったことがありました。また張替金額もリーン・ロゼ社での張替費用よりは安価でしたが、それほど金額が変わりませんでした。リーン・ロゼ社では、現在も「トーゴ」ソファーを製作していて、形やサイズの変更がありません。そのため表面カバーの型紙を持っていますし、新品商品も製作し続けているのですから、張替=カバーのみの製作はそれほどコストもかからず難しい作業ではありません。
ところが椅子張職人に依頼する場合、まず「トーゴ」ソファーのカバーの型紙などは当然持っていません。過去に縫製したことがあったとしても、その時の型紙を保存していることはまずありません。そのため作業手順としては、お預かりした「トーゴ」ソファーのカバーを外し、カバーの縫製をほどき、縫製前の布地のパーツにします。そしてこの布地パーツが新しく作るカバーの型紙になるわけです。
型紙作りを正確に行なわないと、ソファー本体にカバーを掛けたときに本来のデザインにならなくなってしまいます。ソファーの中身がウレタンフォーム素材だけなので、タッカー針で布地を止めることもできません。型紙作りからはじめなければなりませんのでとても手間と時間がかかります。そのため製作会社のリーン・ロゼ社でのカバー価格とあまり変わらない価格になってしまうわけです。しかしそう考えるとリーン・ロゼ社の替えカバー価格は、もっと安価に販売できるのではないかと思います。
ちなみにリーン・ロゼ社の取替え用のカバー税込価格
・1人掛けソファー・・・73,500円~89,250円
・2人掛けソファー・・・96,600円~114,450円
・3人掛けソファー・・・115,500円~143,850円
・コーナーソファー・・・86,100円~122,850円
・スツール・・・・・・・・・・50,400円~58,800円 となっています。
ウレタンフォーム材の補充は別途税込価格
・1人掛けソファー・・・15,750円
・2人掛けソファー・・・21,000円
・3人掛けソファー・・・26,250円
・コーナーソファー・・21,000円
・スツール・・・・・・・・・10,500円 となっています。
詳しくはリーン・ロゼ社のコチラをご覧ください。
話が長くなりそうなので、次回に続きます。