唐木の座卓塗り直しについてのお問い合わせがあった。
唐木とは「紫檀(したん)」、「黒檀(こくたん)」、「花梨(かりん)」などの熱帯地方から日本へ輸入された銘木全般の総称です。もともとは中国から輸入したことから「唐木」と呼ばれているのです。 堅い材質と美しい色合いや光沢から、和室の座敷机や飾り棚の材料となっています。
K様からのお問合せ
座卓の塗り直しのお見積もりをお願いします唐木座卓75センチ×75センチ高さ34センチです。お手数をおかけしますがよろしくお願いします。
子供がまだまだ小さい為、クレヨンやオモチャ、食事で汚される可能性が高いです。どちらの塗装の方が、お手入れが楽か、それぞれのお手入れ方法も参考に教えていだだければ助かります。
安田屋家具店からの返信
写真から判断すると紫檀材または花梨材の座卓だと思います。現在の塗装はだいぶ剥げていますが本漆塗りです。
塗り替えを行う場合、現在と同じ「本漆塗り」で仕上げる方法と、一般的な家具・テーブルに使用されている「ウレタン塗装」で仕上げる方法の二通りになります。塗り替える場合に一番重要なのは、現在の塗装をいかにきれいに落とせるかです。それによって再塗装した場合の仕上がりに大きく影響するからなんです。
また座卓は分解できないので、電動工具や機械を使って落とせないため手作業となります。四代目も実際に手作業を手伝ったことがありますが、これが思っている以上に大変な重労働なんです。
ペーパーサンド(紙やすり)を使って塗装を落とすのですが、すぐに塗膜で目詰まりしてしまいます。根気が必要な作業なんです。
さて本漆塗りでの塗り替え費用は、税込み79,700円となります。往復の送料が別途必要です。
ウレタン塗装での塗り替え費用は、税込み63,000円となります。往復の送料が別途必要です。
塗り替えたばかりの時点では、本漆塗りもウレタン塗装も塗装色や艶などの違いはほとんどありません。しいて言えば匂いが違うことでしょうか。
しかし本漆塗りの場合は、漆の特性である「透ける」という現象が起こります。これは年数の経過とともに漆が透けて、透明感のある色に変化していきます。塗装色が薄くなっていくわけですが、文章ではそれをうまく表現できません。ただ人工的には決して出せないとっても良い色に変化するんですね。漆の良さです。
漆塗りにした場合のお手入れ方法は、座卓使用後はぬるま湯に浸した後、堅く絞った柔らかい布で天板表面を拭き、さらに乾いた柔らかい布で拭いてください。拭く時は、強く拭いたり、拭き過ぎますと、艶が消えたりキズが付いたりして早く傷みがちです。
艶がなくなってきたと感じたら天板表面全体を拭き、ごく少量の菜種油を付けた綿で全体をなじませた後、乾いた柔らかい布で拭き取ってください。また漆は紫外線に弱く、直射日光に当たると変色しますので、直射日光に当てることは避けてください。
拭く時に使用する柔らかい布は、タオル地は避けてください。一番良いのは男性下着のメリヤスです。それも新しいものではなく、何回も洗濯した使用済みのメリヤスが一番良いです。
天板上に長期間、物を置いておくと、その部分のみ色の変化が遅れ、痕が残ったようになってしまいますので注意が必要です。時々天板上に置くものの位置をずらしてください。
夏場などに冷たいジュースやビールなどが入ったコップを天板上に置く場合は、極力コースターを使用してください。直接置く場合も使用後は直ぐに天板上の水分を拭きとってください。そのまま放置しますと水分が浸透し、漆塗りの下の木地まで到達し、その後、輪ジミとして天板表面に浮き上がってきてしまいますので十分注意が必要です。
一方ウレタン塗装仕上は、塗装色の変化はほとんどありません。何年経過しても塗り替え当初の色のままです。
ウレタン塗装仕上のお手入れ方法は、水拭き、乾拭きどちらでもOKです。普段は乾拭き、食事後は水拭きをしていただければ十分です。ウレタン塗装は天板表面に堅い塗膜を作るタイプの塗料で、キズや汚れが付きにくく、お手入れもサッと拭くだけと簡単です。熱にも強く、塗膜に弾力性があるので塗膜の割れも少ないです。
だからと言って過信は禁物です。
陶磁器などの食器の裏は堅いので、引きずるとすり傷やへこみ傷がつきます。天板表面でおもちゃを動かすのも同様に傷が付きます。その辺は一般的な木製ダイニングテーブルと同じなのです。十分ご注意ください。
K様の場合、お子様が小さいとのことなので、費用面を考えてもウレタン塗装仕上をお勧めします。 お役に立つ情報であれば幸いです。
「座卓の再塗り直し」についての記事はコチラをご覧ください。