現在、安田屋家具店でも大好評の「ハンギングチェアー」。
テレビCMでも使用されていることもありちょっと人気急上昇中の家具です。その「ハンギングチェアー」のご修理商品が届きました。ご連絡内容では、「ハンギングチェアー」フレーム周りの籐巻き部分が解れ、金属フレームが見えてしまっている箇所が2箇所あるとの事でした。
早速見てみると・・・・??
ちゃんとご指摘の箇所はきれいに修理してありました。
おやおや???
お電話で確認すると、安田屋家具店に送る前に他の籐職人に送って修理できるかどうか見てもらったらしいのですが、どうやらその職人さんがちゃんと巻き直し修理をしていたのでした。ところがその職人さんは、他の部分の修理ができないとの返事をお客様にされたそうです。他の修理箇所???
どこだろうと思いよーく見てみると・・・、ありました。肝心な箇所です。「ハンギングチェアー」本体を籐丸芯材で編みこんであるのですが、その編み込みの終端を「ハンギングチェアー」フレーム周りの籐巻き部分の下に入れて接合してあるのですが、その接合部分が見事に切れてしまっています。現時点での切れ幅はそれほど大きくないのです。ただ「ハンギングチェアー」本体の下部、つまり座ったときに荷重がかかる箇所なので、いったん切れ始めると後は少しづつ切れていってしまうこととなります。最終的には、フレーム周りと本体編み込み部分が離れてしまうこととなってしまいます。普通の籐職人さんでは荷が重過ぎる修理内容です。
修理箇所を確認してすぐさま、「ハンギングチェアー」ではないが、以前にも同じような修理をしたことがあることを思い出し、一人の職人に連絡。修理内容を説明する。「できるよ!」と言う声を期待したが・・・・、「これはできないね」と言われてしまった。籐丸芯材を持っていないらしい。以前の修理は籐ピール材、つまり籐皮材を使用しての修理だったようである。簡単に考えていた修理が不可能に・・・・、いやいやまだあの職人がいる。
いつもダイニングチェアーなどの背もたれ籐張り修理をお願いして、毎回丁寧な仕上げであり、かつ修理価格も安価で行ってくれるあの職人。籐張り修理において、安田屋家具店手が全幅の信頼を寄せているあの職人さんである。すぐさま連絡して修理内容を説明。「できます」との返答があった。すぐさま修理見積もりをお願いした。
修理内容としては、「ハンギングチェアー」本体を編み込んである籐丸心材の切れた材を編み込んである途中で編みこんで接合して繋げる。その材の終端となる部分、つまり現在切れてしまっている部分のフレーム周りの籐巻きををある程度の範囲解いてしまう。そして先ほど接合した籐丸心材を編みこみながら終端まで持ってくる。フレームに沿って籐丸心材をあてがいながら、フレーム周りを巻き込み直しを行い仕上げる。かなりの手間と時間がかかるめんどくさい仕事となる。
新しく接合した籐丸心材等は、最初は他の修理していない部分と比べて若干白っぽく目立つが、月日の経過とともにアメ色に変化していき、最終的には全体と同じ色になっていくことをお客様にご説明。修理期間は約2週間前後。
そして肝心な修理金額は、税込45,000円でした。(送料は別)
お客様にご連絡すると修理をしていただきたいとのご返事。すぐさま修理に取り掛かったのでした。
今回ご修理することとなった「ハンギングチェアー」は、現在安田屋家具店で販売しいてる正真正銘の「ハンギングチェアー」とは違うものでした。以前紹介した「ジェネリック家具」とも違います。吊り下げ椅子としての形態は同じですが、まったくの別物です。低価格を重視した商品です。そのため本体の編み込み部分は非常に荒く、数年の使用で本体編み込み部分とフレーム周りとの接合箇所との耐久性は低く、短期間で同じように切れてしまうことでしょう。お買い求めになられた金額は定かではありませんが、恐らく今回の修理金額とそれほど大きな金額差は無いのではないかと思います。
「ハンギングチェアー」ブームで、市場には形態が同じ吊り下げ椅子が多数出回っています。その多くは低価格であり、耐久性も低そうです。いわば使い捨て家具としてお考えになられたほうがよいと思います。お買い求めを検討されている場合は、くれぐれもご用心ください。昔から言います【安物買いの銭失い】ご用心、ご用心。