安田屋家具店

　ある日何かが入っている封筒が届いた。
　送り主の名前を確認すると初めて見るお名前でした。
　「アングル丁番金具サンプル在中」の文字があります。

　早速、封を切って何を確認します。
　中から出てきたものは・・・・・、

　折れたアングル丁番金具でした。
　一緒にお手紙もありました。

　「同封した金具と同じものがありましたら送付下さい」との内容です。アングル丁番金具を確認したもののサイズの刻印がありません。しかたがないのでサイズを測ってみました。すると・・・、

　扉厚み１９㎜、側板厚み２０㎜でした。カップ径も４５㎜前後と大きなサイズです。

　側板に取り付ける側も大きく、さらに５箇所のネジ穴があります。５箇所もネジ止めを施すようになっているということは、扉はかなりの重量であることが想像できます。

　金具には「TODA」のロゴマークがあります。いろいろ調べてみましたが、「TODA」のロゴマークの金具工場はわかりませんでした。さらに残念なことに「１９－２０」サイズの金具は現存していません。

　現存しているアングル丁番金具では「２０－２０」が代替で使用できるものと考えられます。カップ径も安田屋家具店で取り扱っている金具は３５㎜。破損した金具は４５㎜なので問題なく取り付けはできるようです。

破損した金具

現存する金具

　しかし今回送っていただいた金具は、かなりの重量の扉を支えるための頑丈なアングル丁番金具なので、現存しているアングル丁番金具に取替えた場合、扉の開閉には支障が出ないものの、扉の重量を支えるだけの耐久性がないものと考えられます。

　代替で取り付けができたとしても、扉の重量に耐え切れずに短期間で破損することが想像できます。そのためアングル丁番金具での取替えは無理であると判断しました。ではこのような場合、修理ができないのでしょうか。あきらめなければならないのでしょうか。

　そんなことはありません。
　ちゃんと修理ができるんです。
　現在の「アングル丁番金具」を「スライド丁番金具」に取り替えればまったく問題なく修理が可能です。ただし金具の形状が全く違うので、どのタイプのスライド丁番を使用するか、扉の厚み、側板の厚み、扉の重量などを確認して金具を選択しなければなりません。

　さらに扉側の彫り込んである穴も変更しなくてはなりません。そのため一般の方が修理できる作業内容ではありません。専門家の技術が必要となってきます。岐阜市近郊であれば安田屋家具店が直接お伺いするのですが、遠方の場合はどうするか。

　ご自宅界隈にある古くから続いている街の家具屋さんに相談されることをお勧めします。今流行のインテリアショップ、アウトレット家具店では専門的な技術がありませんのでダメです。また大○家具、○トリなどの大型店では面倒な作業で利益も上がらないので修理をしてくれません。昔から続いている街の家具屋さんであれば、他店の家具の修理も快く引き受けてくれる店舗が必ずあるはずです。安田屋家具店のような街の家具屋さんが近くに１店は必ずまだまだ苦戦ながらも営業していますので、ぜひそんな家具屋さんに相談されることをお勧めします。

　さて今回お送りいただいたお客様には、同じ金具は現存していないという残念な結果報告と、その代替修理方法についてお電話でお伝えしました。そして最後に「このお送りいただいた金具はどういたしましょうか?」とお尋ねしたところ、「申し訳ありませんが安田屋家具店の方で破棄してください」とのことでした。

　アングル丁番金具の破損に関して、現存している金具サイズは「２４－２４」「２４－２０」「２０－２０」「１５－２０」「２０－１５」「１６－１５」の６種類のみです。１～２㎜程度の違いであれば、今までの修理経験からすると問題なく取替え修理ができますが、ただし扉取り付けの方法によっては、扉の開閉に支障が出る場合がありますことをご了承下さい。１～２㎜程度の違いだと、最終的には実際に取替えてみないと扉の開閉に支障が出るかでないかわからないのです。

　また昔の金具の場合、カップ径が３５㎜より小さかったり、３５㎜のカップ径はあるものの、長さが短かったりする場合があります。この場合は扉に彫り込んである穴を少し大きく削る必要が出てきます。でも上記の６サイズのアングル丁番金具であれば取替えは簡単にできます。

それ以外のサイズは残念ながらすでに生産中止のため金具は現存していません。先に述べたように「スライド丁番金具」に変更する必要があります。