東京のお客様からカリモクソファーの張替修理に関するお問合せが、添付写真とともにありました。
平成7年に入谷の谷口家具で、カリモク製の4客セットのL字型配置の本革張りのソファーを、あえて5客購入しました。長年愛用してまいりましたが、座面と背面が白く剥げてきましたので、張替を考えております。しかしながら座面と背面が後から取替えられるように、ぐるりとファスナーがついています。自分で取り換えるのは難しいようですが、せっかくこの様な造りになっていますので、部品の取り換え方をご存知の方ならば、本職の職人さんでなくとも張替えが可能なのではないかと思いますし、そのような説明を受けて購入しています。張替えの予算は8万円以内です。出張して頂く場合と、引取って頂く場合での見積をお教え下さい。どうぞよろしくお願い致します。
チャック部分
添付写真を見ると片肘椅子2脚、肘無し椅子2脚、コーナー椅子1脚の5店セットのようですです。早速写真とご購入時期をもとに安田屋家具店の資料庫から当該商品の資料を探し当てました。1995年カタログに掲載してありました。
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品番と当時の価格は次のとおりでした。
右肘椅子 ZT2808XP・・・・1脚税別 76,500円
左肘椅子 ZT2809XP・・・・1脚税別 76,500円
肘無椅子 ZT2805XP・・・・1脚税別 50,000円
コーナー ZT2801XP・・・・1脚税別 95,000円
座面と背面が後から取替えられるようにぐるりとファスナーがついていますが、これは将来クッションのみ交換するために取り付けたファスナーではなく、生産時に組立を簡単にする ために取り付けた、いわば製作時の構造的なものです。 ソファーにはよくこのような構造タイプのものがあります。 また年数の経過とともに、ご購入当時の革がなくなります。 すると傷んでいないソファー本体の革は張替えない場合、本体の革色と背・座クッションの皮色が ちぐはぐになることが考えられますのであまりお勧めできません。
さてこのデザインの椅子は、15年経過した今でも継続して生産・販売を 続けている椅子です。ところが革の材質、色は大きく変わりました。 現在お使いの革色はすでにありません。 カリモク工場に確認をしましたところ、背面・座面クッションは交換部品では ないためそれだけを製作することはやはりできないようです。 また当時の革の材質・色はすでにないため、カリモクで張替をする場合は、 革の色がちぐはぐとなってしまうためソファー本体・クッションも含めての 全部張替という方法となります。
その張替価格は、
右肘椅子 ZT2808XP・・・・1脚税込 96,000円(往復の運賃は別途)
左肘椅子 ZT2809XP・・・・1脚税込 96,000円(往復の運賃は別途)
肘無椅子 ZT2805XP・・・・1脚税込 48,000円(往復の運賃は別途)
コーナー ZT2801XP・・・・1脚税込 156,000円(往復の運賃は別途)
中身のウレタンクッション材も入れ替えますので、張替といっても新品になります。 ご購入価格よりも高くなってしまいますのであまりお勧めできません。カリモクで張り替える場合、今までの経験上、とくに本革材を使用しての張替は、現在も生産している商品の場合であれば、カリモクブランドのプライドにかけてかなりお値打ち価格だったのですが、今回の価格は思っていたよりも高い金額でした。現在の販売価格よりも高くなるというのは事情が変わったのでしょうか。それとも間違いなのでしょうか。
ちなみに新品を購入される場合の現在の価格は、
右肘椅子 ZT2808XP・・・・1脚税込 93,450円(往復の運賃は別途)
左肘椅子 ZT2809XP・・・・1脚税込 93,450円(往復の運賃は別途)
肘無椅子 ZT2805XP・・・・1脚税込 61,950円(往復の運賃は別途)
コーナー ZT2801XP・・・・1脚税込 116,550円(往復の運賃は別途)
カリモクなどの大型家具工場は、大量にコンスタントに生産するため、張替よりも新品価格の方が安価となっています。張替の場合は、現在の張り地をはがす作業があります。新品を生産する場合はその手間がありませんから、張替は新品を生産するよりも当然手間と時間、費用がかかります。しかしカリモクなど全国的に名前が通っている大型家具工場の場合、自社の商品であれば、修理費用は新品価格よりも安くなる場合が多いです。過去にカリモクさんに本革張りソファー張替を依頼した時、安田屋家具店専属の椅子張り職人の価格よりもうんと安価であったことを経験しましたから、本革の場合は生産した工場で張替えた方がお値打ちであると思っていました。生産中止して何年もたっていれば別ですが。しかし今回の価格は・・・・・????
製作したカリモクでは張替価格が高く、また背・座クッションのみの製作はできませんでしたので、安田屋家具店専属職人に 見積をさせました所、実際のクッションをお預かりして現物を確認しないと 確実な修理費用は算出できませんでした。そこでカタログ写真でソファーの形態を見てもらって本革を使用する場合を見積もらせたところ、 片肘椅子・肘無し椅子の背面・座面クションのみの張替費用は、少なくとも1脚税込50,000円~はかかってしまうようです。 最終的な正確な価格は、実際のクッションを見させてもらってからのご提案となります。
今回の場合、お客様のご希望金額での張替は無理のようです。
そこでお客様には、背面・座面クッションのみを交換する場合は、地元の椅子張り職人を使用する 方法として、お客様のお住い近くの街の家具屋さんか、 椅子張替職人に相談されることをお勧めしました。その理由として運賃が必要ないからです。 ただ本皮を使用する場合は、地域が変わっても上記に明記した価格前後の金額になるのでは ないかと思います。
張替費用を安価にするには、合成皮革(ビニールレザー)を使用する方法があります。 ただこの場合も1脚2万円程度ではできないようです。 本革ソファー張替の場合、布地・レザーと違って価格がかなり高価になりますので 安田屋家具店でもあまり張替修理はお勧めしていません。特別に想い出深いソファーで どうしても捨てられないという場合以外は、張替はお勧めしていません。中には買い替え価格と比較した場合、 当店でもお勧めする判断に迷う場合があります。最終的にはお客様の判断にお任せしています。
しばらくしてお客様からご返答がありました。
詳しいお見積りはもとより、品番や、現在でも生産されている点、私が思い違いをしていた点等、いろいろとお調べいただいた上お教え下さり、ありがとうございました。カリモク本社のある愛知県のお隣の県の家具屋さんならではのご説明、感動いたしました。本革での張替ですと、革色の問題や、又、コストの面で割高で、おすすめではないということでございますので、昔と比べて耐久性なども高く、色の面でも選択肢の多い合成皮革で(近郊のお店で)再考、もしくは新しいものを購入させて頂きたいと思っております。遠方にもかかわらず、丁寧にお答えくださり、ありがとうございました。15年前、縁あって、カリモクのソファーを購入いたしましたが、本当に良かったと思っております。私の母の実家が、岐阜の笠原というところに縁がございます。何かの折に、又、よろしくお願いいたします。先ずは御礼まで。
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