通称:ホクミン「北民(HOKUMIN)」と呼ばれる北海道民芸家具は、クラレインテリアが製造していました。クラレインテリアの創始者・大原総一郎 氏の父・大原孫三郎 氏は、岡山県倉敷に日本初の近代西洋絵画美術館「大原美術館」を創設するなど、日本の美術工芸の発展に多大な功績を残されました。一方で、昭和初期に柳 宗悦 氏を中心に興った民芸運動に深く共鳴され、その良き理解者でもありました。柳 宗悦氏が興された民芸運動の意図したところは、特権階級だけに向いていた芸術を、普通の人々の日常の生活の中で見出し育んでいこうというものでした。柳 宗悦 氏は「民衆の工芸に工芸そのものの真の姿がある」「生活用具の中にこそ本当の美しさがある」と提唱されました。

 そして昭和39年(1964年)、大原総一郎 氏は柳 宗悦 氏の思想と父親大原孫三郎 氏の意思を継承すべく「民芸の復興を通じて日本人の心に伝統工芸を取り戻そう」との思いで、北海道にクラレインテリアの前身である「北海道民芸木工株式会社」を設立し「北海道民芸家具」の歴史が始まりました。

 昭和39年(1964年)ということは、四代目4歳の頃の出来事ですね。

  昭和39年当時、すでに民芸家具と称する家具がありましたが、どの商品も「潤沢にあり買いやすい価格である」という、本来の民芸の思想からは少々かけ離れたものでした。当時、大原総一郎 氏は、日本人の生活用具が豊富になる中、無機質なもの一色になることを危惧していました。没個性なものに囲まれた生活は、使う喜びや大切にする心が失われ、使い捨てが進み、果ては資源の枯渇へと繋がるからです。

 うーーん!!
 すでに現代生活において現実となっている。
 そうなんです。この考えが安田屋家具店の柱ともなっています。「使う喜びや大切にする心が失われ・・・」今の家具店の主流となりつつある「アウトレット家具」とか「B級家具」とかが氾濫し使い捨て家具が増えていく中で、子供達のモノを大切にする心が失われつつあるのではと四代目も危惧しているんです。

 求められるものは、本物の風格を備えながらも暮らしに良く馴染み、長く大切に使われることです。北海道民芸家具は、職人による手作り感を大切にしながら、現代技術をも取り入れ精度を高めることで、本物を追求する道を選んだのです。誰もが親しみやすく、愛され続ける価値のある家具。柳 宗悦 氏によって提唱され、大原父子に受け継がれた民芸の思想は、今なお「北海道民芸家具」の中に確実に息づいています。

 この「北民(HOKUMIN)」と呼ばれる北海道民芸家具は、クラレインテリアから飛騨・高山に工場がある「飛騨産業」に営業権が移りました。「飛騨産業」の民芸家具部門として、今も北海道の地で創業の精神を守りながら製造をつづけています。民芸の精神と飛騨の匠の精神が融合したのです。

 そして今回ご紹介するのは、とってもスリムで玄関先での置き場所をとらない「スリッパ立て」です。様々な人が行き交う玄関は、その家の大切な顔です。そこに住む人の暮らしや人柄が、短い時間で伝わってしまう凝縮されたインテリア空間なのです。今回ご紹介する「北海道民芸家具」スリッパ立ては、美しい木目の厳格な佇まいながら、迎える心はあくまでも優しく、気品ある手作り感に、訪れる誰もがホッとできる空間にかえてくれる逸品です。

 横幅500×高さ720㎜。そして奥行きはたった140㎜しかありませんので、乱雑になりがちな玄関先のスリッパをスマートに収納します。背裏はでっぱりが無いので壁面にピタリと付けることができるので、じゃまになりません。

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8月 7, 2011 · Posted in 商品紹介, インテリア雑貨  
    

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