ある日、破損した金具が届いた。 中を開けてみると・・・・・・、
ポキッと折れてしまった「アングル丁番金具」でした。
それもかなり大きなサイズでするぱっと見た瞬間、製造工場がわかっちゃった四代目でした。さすが、家具業界30年のベテランです。なんちゃって。金具と一緒にお客様の切実なお手紙が入っていました。
「35年前に作った壁収納の洋服タンスの扉のアングル丁番金具が壊れてしまいました。取外した壊れた蝶番を送りますので、同じものがあるかどうかご連絡ください。 インターネットで安田屋家具店さんのホームページのアングル丁番金具の写真を見ましたが、同サイズのものがなかったので、現物を送らせていただきました。よろしくお願いします。 大阪府吹田市」
一般的なアングル丁番金具と比較してかなりサイズが大きいです。扉側に取り付ける部分も、家具本体に取り付ける部分も大きくがっしりしていますので、大きくて重量のある扉に使用するアングル丁番金具であることがわかります。
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お送りいただいた金具は、大阪に店舗があった「木村新(キムラシン)」という金具工場の「面付アングル丁番金具30-24」という商品です。
扉の厚み30㎜、家具側板の厚み28㎜に使用する金具です。安田屋家具店に当時のカタログがありました。
さらにこの金具は、家具本体側板に補助金具としての「座金用パッキン」を取り付けて厚みを調整するようになっています。パッキンの厚みも4㎜と8㎜の2種類があり、微調整が出来ないアングル丁番金具の苦肉の策だと思われます。
家具業界の中では金具の品質がよいことで有名な金具工場であり、数多くの家具工場が使用していた金具メーカーであった「木村新(キムラシン)」も、時代の流れにのれず廃業してしまいました。したがいまして残念ながら破損した金具はすでに製造中止で現存していません。
最近の家具では、扉の微調整ができるスライド丁番金具を使用しますので、このような微調整ができないアングル丁番金具は淘汰されてしまい、残念ながらほとんど現存していないのが実情です。
代替の金具がない場合のご修理方法としては、1枚の扉についている金具を全て現在主流の「スライド丁番」に取り替える方法です。ただしどの種類の金具を使用するか、扉の穴を彫り込みなおしたり、金具の取り付けに技術が必要ですので、一般の方が取り替えるのは難しいかと考えます。ご自宅近くの昔から続いている街の家具屋さん、建具屋さんであればスライド丁番に取り替える修理は簡単に行なえるかと思いますので、一度ご相談されることをお勧めします。
インテリアショップでは不可能ですし、アウトレット家具店や大型店舗では面倒くさいので買換えを勧められ、修理は受け付けてくれないと思います。街の小さな家具屋さんであれば簡単な修理仕事ですので、快く引き受けてくれるかと思います。「家具修理」で検索されるとご自宅界隈の修理屋さんにたどり着くかと思われます。
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