安田屋家具店ホームページでは、洋服タンスや食器戸棚の扉に使用されている様々な丁番金具について数多くご紹介しておりますが、金具修理ばかり数多くやっているわけではありません。
今まであまりご紹介してこなかったその他の業務内容に関して、2016年、平成28年の安田屋家具店ホームページでご紹介していきます。
1つは「家具リフォーム」事業。 そしてもうひとつは「ぱたぱた扉収納棚」事業。 この二つに関して、実は数多く手掛けているんです。「家具リフォーム」は地元である岐阜市近郊~名古屋市近郊のお客様からの依頼が多い仕事です。
「ぱたぱた収納棚」または「パタパタ扉収納棚、または「バッタリ扉収納棚」と四代目は呼んでいますが、こちらはご遠方のお客様からのご依頼が多い仕事です。 。
まず今回からは「家具リフォーム」として、膳戸棚(またの名を水屋)のリフォームをご紹介します。
膳戸棚は、かつての日本の台所に設置してあった今で言う「食器戸棚」です。今は食器をそのまま収納するのですが、昔は箱に食器を収納した「箱膳」を収納するのでした。そのため現在の食器戸棚のような棚板での仕切りはなく、上段、中段、下段の3箇所に箱膳が収納できるようになっていました。
安田屋家具店では数多くこの膳戸棚のリフォームを行っていますが、大抵同じデザイン、サイズ、材質です。デザインは下記の写真のタイプが一般的です。過去にリフォームした膳戸棚の一部をご覧ください。
サイズは横幅180センチ、高さ180センチ、奥行40センチが一般的です。材質は、柱や横桟には「桧材」、側板・背板・内部の棚桟には「杉材」が使用されているのが一般的です。引出し前板には「ケヤキ材」が使用されているものが多いようです。
また表面の塗装は何もされていない木地仕上げが多いようです。ただしお預かりする時には年数の経過によりほぼすべて「こげ茶色」に変色しています。
今回お預かりした膳戸棚も一般的なデザイン、サイズ、材質でした。約100年ほど前の膳戸棚だそうです。色もかなり汚れた「こげ茶色」になっています。引き扉の一部は、ネズミさんにかじられた跡が残っています。
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膳戸棚の全体的な洗いと、木部の補修を行うために桐たんす職人「柴山五郎」氏の工房に持ち込みます。桐たんすの需要が激減したことから、四代目が職人「柴山五郎」氏曰く「最後は職人の手がものを言う」の言葉に惚れて、家具リフォームの仕事を勧めたのでした。勧めた者として仕事を持ち込まないと職人に信用されませんから・・・。
かなり古い膳戸棚を見た職人「柴山五郎」氏は、その痛み具合を確認して「うーむ」と考え込む表情をしたのでした。そして・・・・、
柴山氏「背板、そして内部の棚桟板は新しい杉板に張替だな。側板は取外せない構造なので、洗濯して使用する。引出しは前板のみをそのまま使用して、引出し箱は今と同じ杉板で作り直し。桐材で作ると高くなるからな。取手金具はさびを落として黒色に塗り直す。引き戸の格子部分は、破損した箇所のみ埋め木をして補修。約1ヶ月の作業になるかな」
四代目「時間をかけて、修理費用が高くならないようにして下さい」
柴山氏「塗装はするのか、しないのか」
四代目「修理費用を安価にするため私が植物性オイル仕上げを行いますので、柴山さんの方では塗装はしなくてよいです」
柴山氏「膳戸棚家具本体木部の洗濯と木部補修、杉板材料費も含めて税込み8万円~だな。ウレタン塗装を行うと塗装費用が8万~12万ほど必要になるな」
四代目「ウレタン塗装費までは、とてもとてもお客様ご予算では捻出できないので、家具本体木部の洗濯と木部補修だけでお願いします」
職人「柴山五郎」氏と交渉と詳細な打ち合わせを終えた四代目は、膳戸棚を工房に置き、引き扉だけを取外して持ち帰ったのでした。時々修理状況を確認しに来ないとなと考える四代目でした。
膳戸棚や桐たんす、帳場タンス、塗りタンスなどの古民家具のリフォームをお考えのお客様は、ぜひ一度安田屋家具店にご相談下さい。
ご遠方のお客様は、リフォームされる家具の写真とサイズを安田屋家具店にメールでお送り下さい。確認次第お見積させていただきます。
岐阜市近郊のお客様はメール、電話にてご連絡いただければ四代目がお伺いして家具を確認、または一旦お預かりしてリフォーム費用をお見積させていただきます。
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