「ブックマン」とは、静岡に工場があった「丸伸」、または「マルシン」と表示される工場が生産していたスライド書棚のことである。
発売当時は画期的な家具で、爆発的なヒット商品でした。安田屋家具店も岐阜県内唯一の代理店としてスライド書棚「ブックマン」の販売に寄与したのでした。
しかし会長さんのワンマン経営な部分もあり、また生活スタイルの激変もあり、かなり以前に廃業してしまいました。そしてスライド書棚もその存在が消えつつ運命にあります。そんなスライド書棚「ブックマン」の扉丁番金具に関して、昨年末からどういうわけかお問い合せ、ご修理のご相談が増えています。金具が破損する年数なのでしょうか。
そして今回、久しぶりに安田屋家具店実店舗の出張修理として、岐阜市内のお客様宅に金具取替修理にお伺いする四代目でした。
お客様宅には、横幅120㎝タイプのスライド書棚「ブックマン」がありました。懐かしいーーー!!
扉に取付いている金具を確認すると、金属疲労によりポキッと折れていました。金具を取外してサイズを確認すると「20-20」が刻印されていました。持参した金具を用意します。
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扉2枚は金具がすべて破損していたため家具本体から取外されていました。
扉を取外した状態で金具を取替えた場合、家具本体に金具を取付ける時に作業員が2人必要となります。1人が扉を保持し、もう1人が金具取付け作業を行わなければなりません。
また家具本体側に取付けるネジ穴位置が変わります。古い金具のネジ穴位置を再利用できませんので、どの位置に扉を取り付けるか考えないとなりません。専門的な経験と知識が必要となります。
今回は四代目一人でお伺いしたので、一人でも取替作業ができる簡単な方法で行いました。皆様の参考になればと思います。
まず1枚だけ取付いている扉を確認すると、全部で4個取付いている金具の内、1個だけが破損していました。そこでまずその破損した金具を取外します。家具本体側の取付けネジを外し、続いて扉側の取付けネジをはずします。
そして家具本体側の金具部分を持ってググットと扉の穴にはめ込んである円形部分の金具を引き抜きます。そして新しい代替金具に取替えます。扉にあいている穴に代替金具をはめ込み、ネジで取り付けます。カップ径は同じサイズなので簡単に取替できます。
続いて家具本体側に金具を密着させつつネジで固定させます。
同じ作業を、最下段の金具、その上の金具、最上段の金具と順番に取替えていきます。このように扉が家具に取付いた状態での取替作業は、一人で行えますし、扉の建て付けを考えなくても、現状の位置のままで新しい金具を固定できます。
一人で簡単に取替えられる極意です。
四代目は4枚扉分で12個の金具のネジ合計72本を取外し、新しい金具に取替えた後72本のネジ締めを行うのでした。合計で144本です。ねじ穴の+が小さいので、電動工具で行うとネジを切ってしまう恐れがあるのですべて手作業です。最後の方になると握力がかなり落ちてしまいました。
作業時間約1時間で終了です。
扉3枚が元通りに取付いています。最後にスライド具合を確認して微調整をサービスで行いました。当店で購入していただいた家具ではありませんが、家具屋のプライドですね。
金具は1個税込み450円。出張作業実費が扉1枚税込み5,000円。合計で20,000円の修理費用となりました。
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