I様からかろうじて座れているが、座面籐シートが少し切れている箇所があり、籐シートが落ち込んでいるチェスカチェアーに関してのご相談がありました。
I様からのご相談
チェスカチェアの座面の藤の修理に関して
座面の藤の一部が切れており、 その切れた部分から、周りが徐々に座面が凹んできています。 使っていくとそのまま穴が開いてきそうな状態で、気を使って使用している状況で困っています。 修理をお願いするとなると、金額と納期はどれくらいになりますか?
安田屋家具店からの返信
経年劣化による籐材の切れが見られ、その部分が徐々に荷重に耐えられず下方に下がっている状態です。切れている部分から今後破損が広がっていきます。 応急処置としては座面に座布団のような少し厚めのクッションを敷いて座られると、荷重が分散され破れの広がりを抑えることができます。
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ただしあくまでも応急処置なので、いずれ張替が必要となります。張替費用に関してご案内いたします。
座面籐シート張替ですが、現在と同じ「五分カゴメ編み籐シート」材を使用し、無着色・無塗装の生地仕上げで張替だ場合、1脚税込18,000円です。お客様宅~当店、当店~お客様宅までの往復の送料が別途必要です。
張替前
張替後
送料を安価にするため、残シート材を椅子本体から取外して、座面のみをお送りください。1,000円程度の送料だと思います。椅子座面の裏側でビスで止めてありますので、ビスを外せば簡単に取外しできます。
チェスカチェアーは座面シート面積が大きいので、座った時の荷重を籐シートが受けとめ、徐々に荷重で籐シートが下に伸びていき、伸びきった時点で籐材が切れるのが破損の原因です。
そこで座った時の荷重を受けとめる籐皮を撚った籐バンドを座面裏に十文字に取付ける「十文字補強」を入れるのをお勧めします。「十文字補強」は1脚税込6,000円が別途必要です。
さらに強度が強くなり耐久性が高くなる「井桁補強」があります。籐バンド4本を井桁状に座面裏側に取付けます。「井桁補強」は1脚税込10,000円が別途必要です。
張替前の強度を100とすると、十文字補強を入れると強度が1.5倍の150となり、手編み仕上げの強度とほぼ同じとなります。井桁補強は強度が2倍の200となり、手編み仕上げよりも強度が高くなります。
ただし強度、耐久性に関してはご使用方法によって大きく違いが生じますので、必ずしも数字上の強度があるわけではありませんのでご了承ください。
十文字・井桁補強を入れると荷重をバンドが受けとめ籐シートの伸びを軽減させますので、強度が増す仕組みです。耐久年数も長くなります。 籐バンドはまず切れることはありませんので、次回は籐シートの張替費用のみで修理できます。
座面のみを張替えた場合、張替を行わない背面の籐シート材との色の違いが生じます。
しかし籐シート材は年数が経過するごとに徐々にアメ色に変色していき、最終的には背面の色と同じような色まで変化していきますので、背面・座面共にほぼ同じ色合いになります。張替直後からしばらくは背面と座面の色違いが出ますことをご了承ください。
修理期間はお預かりして10日~2週間前後での発送予定です。年末に近づくと修理が多くなりますので通常よりも修理期間が長くなる場合がありますのでご了承ください。
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