岐阜市内のN様から食器戸棚の丁番取替修理の依頼がありましたのでお伺いしました。

3枚扉の中央の扉に取付いているスライド丁番の受座がポキッと折れていました。扉1枚に3個丁番が取付いています。3個とも新しい丁番に取替です。新旧の金具が混在して取付いていると扉の開閉に支障が出たり、金具の耐久性が落ちますので、必ず同じ金具を取付けるようにしてください。

金具の形状から「半カブセ」タイプです。

金具をお預かりして代替金具を探します。
破損した丁番本体には「MF6H」の刻印があります。

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受座金具には「BF232Z0」の刻印があります。

受座金具の高さは、前部が8mm、後部が10mmです。


カブセサイズを確認します。受座金具と丁番本体が接合している状態で、受座金具の下から丁番円形部の下までの長さが5.5~6mmです。

丁番の高さを確認します。高さは26mmです。

破損金具と同じ丁番シリーズには4種類あり、赤矢印部分の高さが「全カブセM」(22mm)、「半カブセL」(26mm)、「半カブセS」(35mm)、「インセット」となります。インセットは形状からすぐに区別できます。参考資料をご参照ください。


今回破損した丁番はかなり古いので、すでに生産終了していて、まったく同じ金具は現存しません。
しかし同じ工場が機能性・耐久性を向上させた最新の後継金具で代替えできます。受座金具のネジ穴位置も2カ所が同じなので簡単に取替え作業ができます。

受座金具の上下2カ所のネジ穴位置は同じです。3カ所目のネジ穴位置が大きく変わります。

取付の際には、まずネジ穴が同じ上下2カ所のネジ止めを行います。3カ所目のネジ止めはこの時点では行いません。
扉側に丁番本体を取付ネジ止めを行います。扉最上部に取付けた丁番本体を家具本体側に取付けた受座金具にパチンと音がするまで強く押し付けて接合させます。次に真ん中、最下段の丁番を同時に受座金具に強く押し付け接合させます。
本来であれば受座金具の取付位置は新旧金具共に同じなので、簡単にワンタッチ式で接合できるのですが、わずかなズレが生じている場合があり、最下段の丁番の接合がうまくいかない場合があります。このような事態になった場合、最下段の受座金具の取付ネジを少し緩めます。受座金具が緩んだ状態で再度丁番本体を接合させます。受座金具のネジを緩めれば丁番との接合ができるようになります。
接合しましたらその状態で受座金具の緩めたネジを強く締め付け固定させます。扉の開閉具合を確認します。
開閉に支障が生じなければ、最下段の丁番本体後部の黒色ボタンを押し、受座金具との接合を外します。次に真ん中、最後に最上段の丁番と受座金具との接合を外し、一旦扉を家具本体から取外します。
次に全ての受座金具後部にある3カ所目のネジ穴にネジを入れて締め付けます。受座金具3か所のネジ止めが行われていることを確認しましたら、再度扉を家具本体に取付けます。
最上段の丁番本体を最初に接合します。
次に真ん中と最下段の丁番を同時に接合させます。これで取替修理完了です。
破損金具と同じ工場が生産している最新金具なので、取替作業は比較的簡単です。
尚、取替作業は必ず二人で行ってください。1人の方が扉を保持し、もう一人が金具取付を行うよう分担して作業を行ってください。1人で行うと扉落下などの事故につながりますのでご注意ください。
破損金具と代替金具との違いは、受座金具との接合方法です。破損金具の場合は受座金具後部のネジを閉めて接合する方法です。代替金具となる最新金具の場合は、丁番本体を受座金具にバチンと音がするまで押し当てて接合するワンタッチ方式です。着脱がとても簡単になっています。
金具は丁番本体と受座金具とのセットで1個税込み1,500円(2025年8月時点) 送料が別途必要です。
「MF6H」「BF232Z0」の刻印がある金具が破損しましたら、安田屋家具店にご相談ください。代替金具をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。