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20年前のマルニのソファー

 昨日の30年前のカリモクの椅子に引き続き、今回は20年前のマルニのソファー修理です。日本国内にてトータルで家具を製造していた家具工場として、愛知のカリモク、広島のマルニ、東京のコスガの3工場が主力であり、互いに競い合っていました。東京のコスガは数年前に廃業してしまい、現在はカリモクとマルニが2大家具工場ということでしょうか。もっとも全盛時に比べれば、どちらとも少し小さくなりましたね。

 さて今回お客様から相談いただいたのは、20年前のマルニ製本革張りソファーの張替修理でした。安田屋家具店の資料室にて1990年マルニカタログを引っ張り出してきました。

本革張りリビングチェアーのページを確認すると・・・・。



「レマン」シリーズは、合成皮革を一切使用せず、本体・クッションとも全て本革張りのマルニの中でもトップクラスの高級家具でした。3人掛けソファーで315,000円。当時の価格としてもかなり高価な家具でした。この中の3人かけソファーとスツールの張替修理です。

 ソファー本体に張られている本革部分の傷みはほとんど無いようです。ところが消耗部分である背座一体のクッションは、本革表面の擦り切れがあり、さらにはキルティング部分からほつれてしまっています。この背座一体クッションはソファー本体にのせてあるだけのクッションですので、これだけを新しく作り直せばよいわけです。

 表面を見てみると細かくキルティング仕上げがしてあります。細かくキルティングされているのは、デザイン的な部分であり、また無駄なく本革材を使用するためであり、さらには中身ウレタンクッション材の微妙な曲線に合わせるために施されているようです。新しく製作するには同じようにキルティング仕上げを行わないとソファー本体にのせたときに収まりが狂ってしまいます。仕事としてはかなり面倒で手間のかかる作業となります。

 裏面を見てみると、見えない部分にもかかわらず本皮が使用されていました。中央部分は空気抜けのため布地が使用されています。

 このソファーを製作した「マルニ」工場と安田屋家具店専属の職人に見積をさせました。本革を使用する場合、材料として使用できる部分に限りがあり、使用できないロスの部分がどうしても出てしまいます。そのため大量に革を保有している大きな工場の方が割安な修理価格になります。今回のクッション3個製作するのに、本革材が牛5頭分の本革が必要となります。本革材はどんな材料が来るのか分かりません。穴が開いていたり、傷があったりと一定ではありません。そのためどの程度の材料が必要なのかなかなか確定できないのです。

 マルニ工場での張替価格は、中身ウレタンクッション材も新しく作り直して、クッション1個税込68,800でご提案させていただきました。(送料は別途) 修理期間はお預かり後2ヶ月かかるようです。本革材以外に安田屋家具店専属職人による合成皮革材を使用した場合の価格もご提案しました。合成皮革といっても一般的な材料ではなく、手触り感、吸湿性、放湿性を極力本革材に近づけた材質で、7,000円/mの材料を使用した価格です。ただしこの場合中身ウレタンクッション材を作り直すことができないので、現在のクッション材に補充を行って使用します。クッション1個税込49,900でご提案させていただきました。(送料は別途) 修理期間はお預かり後2週間程度でした。

 早速お客様にご連絡です。
 マルニ工場で本皮にて張替を希望されましたが、一つ問題がでてきました。7月初旬にはソファーを使用したいとのこと。マルニ工場で行なった場合2ヶ月の修理期間が必要なのでとても間に合いません。マルニの担当者に直談判です。なんとか1ヵ月半程度にはなりそうですが、7月初旬には到底間に合いません。うーーむ!!!! どうしよう!!!

安田屋家具店専属の職人に相談です。
本革材で行なう場合、材料の関係上、どうし切り詰めてもマルニの修理価格よりも少し高くなってしまいます。しかし修理期間は2週間ほどなので6月中にお届けすることが可能です。現在のクッション材に補充を行って使用してクッション1個税込75,400でご提案させていただきました。(送料は別途) どの方法にされるかあとはお客様のご判断待ちです。

 ちなみにダイニングチェアーにしてもリビングチェアー、ソファーにしても本革材で張り替える場合は、大きな工場で張替えた方が断然お値打ちです。特にカリモク商品であればカリモク、マルニ商品であればマルニというふうにすると、自社の商品なので本来であれば張替修理費用は高くなるのですが、自社商品であることからかなりお値打ちに張替ができます。これも日本を代表する大きな家具工場だからこそ修理部門をもっているからこそできることなんですね。カリモク・マルニ以外にもちゃんとした家具工場も同じです。安価な商品を製造している工場では、もともと張替をすることを考えていないので、修理部門も持っていなくて自社の商品であっても張替は受けないようです。つまり売りっぱなしです。

 張替材を「布地」や「合成皮革(ビニールレザー)」を使用する場合は、地場の椅子張り職人の方が断然安い場合があります。張替修理を行なう場合、材料や椅子の形態によって工場で行なった方が安い場合もあれば、地元の椅子張り職人で行なった方が安い場合があるので、信頼できる家具店に相談されることをお勧めします。

もちろん安田屋家具店にもお気軽にご相談ください。

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6月 2, 2011 · Posted in 椅子張替え  
    

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