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真空貼りの末路

下駄箱の扉表面の板がめくれてきたので修理して欲しいとのご要望があり、早速修理に駆けつけた。板がめくれてきたとはどういうことだろう、突板がめくれたのだろうか??  お客様宅に到着して修理箇所を見てビックリ!!

扉の「板がめくれた」というより、木目が描かれた塩ビシートが剥がれた状態でした。

お客様にとってはパッと表面を見れば、木製の扉だとしか見えませんからね。最近の家具は技術が発達して、本物の木だと思ってしまいますもんね。

扉の木枠は無垢材を使用しています。扉の下半分の鏡板と呼ばれる部分は、木の屑を圧縮してボードにしたMDF材で、その上に木目が描かれた塩ビシートが貼ってあります。貼る方法も「真空貼り」という技法だと思います。接着剤は使用しないで、MDFボードと塩ビシートを真空にして圧着させる方法です。ただ張り合わせた部分にほんのわずかな空気が入ってしまうと簡単にめくれてしまうという欠点があります。ただそんなに頻繁に起こることはありません。

今回のご修理部分は、鏡板の先端の塩ビシートがはがれ始め、全体に大きくめくれてしまっています。またはがれはじめの段階で、MDFボードと塩ビシートの間に空気が入ってしまい、プヨプヨと浮き上がっている箇所もあります。

さて修理方法ですが、これがまた厄介なんです。まずは塩ビーシートを全て剥がします。剥がし終えたMDFボードに、扉枠と同じ塗装仕上げができれば簡単なんですが、MDFボードに塗料がのりません。つまり塗装ができないんです。今回のMDFボードも塗装をはじいてしまいますので、染色もできず、塗装もできません。

方法としては、扉の木枠を分解して、MDFボード部分を取外し、新しい板に取替えてから、木枠と同色で塗装仕上げを行う必要があります。しかし扉木枠を分解すると、上部のガラス部分も外れてしまいますし、かなり大変な作業となります。修理費用も少々高くなりますが、買い換えられるよりは安価ですよとお客様にご説明して扉3枚をいったんお預かりして、正確な御見積金額を算出することにいたしました。

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9月 22, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

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