一般的にラタン家具と呼ばれている「ラタン」とは、日本名を藤(とう)といい、籐」という字をあてていますが、実は椰子科の木で、竹の仲間でもなければふじづるの親戚でもありません。熱帯雨林地域のジャングルに自生する、非常に生命力の強い地上最長の植物です。東南アジアなど熱帯のジャングルに自生するつる植物です。
形は竹とよく似ていますが、違いは竹の内部が中空であるのに対しラタンはギッシリと詰まっていることです。またその繊維方向の引っ張り強度は非常に強いのが特徴。
ラタンは、薄暗いジャングルの中で上空の太陽光線を目指して、大変速い速度でひたすら上方へ伸びようとします。伸びる途中で自立出来なくなると横倒しに倒れます。倒れながら、枝や葉の裏についた無数の鋭いトゲで他の樹木にからみつき、そこからまた上方へ伸びていきます。伸びては倒れ、倒れては伸びる繰り返しの結果、ときに数百メートルにも及ぶ長い姿が形成されます。
ラタンに分類される種族は約300種、そのうち産業用資材として利用されているものは、約30種類ほどです。生長につれて太くなるもの、伸びても細いままのもの、はじめから太いもの、堅いもの、柔らかいもの、繊維の粗いもの、細かいものなど種類によって性質も様々です。大別して、太いものは家具のフレーム材として使用され、細いものはこれを裂いて皮籐(ピール)と芯籐(コア)をとり、編んだり巻いたりする材料になります。
材料としての籐は、丸籐と割籐とにわけられます。丸籐は太民(たいみん)、双棟(そうかん)、三棟(さんかん)、四棟(よつかん)の4種があり、椅子やテーブルの脚、 腕木などに用いられます。
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割籐は丸芯籐(縦編、横編、小物用)、半芯籐(柱巻、縁巻用)、皮籐(椅子やテーブルなどの小物用)の3種あります。ふつうの籐張りには、皮籐が用いられ、編んで座、背、肘などを張るのに使用されます。座張りは、座枠上端内側を籐の厚み分だけ欠き取り、これに間隔を置いて穴を開け、これに籐を通し、2筋縦横筋違いにかごめに組んで編んで、縁部へも取り回して編み上げます。
籐はしなやかで丈夫なため家具素材として古代エジプト時代から使われているそうで、1000年以上も昔から日本でも愛用されてきました。また木材が生長リサイクルに50年~70年を要するのに比べて、ラタンは自生するジャングルが保護されている限り、採ったあと5年~10年で再生します。環境を破壊しないで、枯渇する心配の少ない自然素材なんです。
そしてこの籐家具は、これからの季節、そうジメジメした梅雨時期に最適なんです。
藤は根から水分を吸い上げる導管が走っているため、梅雨どきには空気中の湿気を吸収し、乾燥した冬には導管中の水分を外へ放出するため、夏は涼しく冬は暖かいんですね。いや~な梅雨を快適に過ごすにはうってつけです。
藤は自由に曲げて優美な曲線を描く椅子やスツール、ベッド、廊下の手すりなどさまざまにアレンジできます。
主な編み方は市松編、四ツ目編、網代編、カゴ目編など26種類前後もあるんだそうです。籐はしなやかな弾力性に富んでいるので椅子の座面に使用するとは安定感があります。特に最近、長時間のパソコン作業にも向いているとのことで人気が出ています。
良い籐家具、粗悪な籐家具との見分け方は「籐材の接合部をなど籐を巻いている部分にすき間があるかどうかをチェックすることです。巻きと巻きの間にゆるみがなければ技術的レベルが高く、丈夫で品質が良いんです。巻きにゆるみがあると直ぐにぐらついて耐久性が悪いです。また粗悪品の籐家具の編み方はグチャグチャな編み方です。安田屋家具店にて取り扱っている「ハンギングEggチェアー」で比較するとよくわかります。規則正しく、きれいな編み方の籐家具は、耐久性にもつながっています。
安田屋家具店取り扱いのハンギングEggチェアー
粗悪品は形も編み方もグチャグチャです
籐家具のお手入れは、柔らかい布で軽く乾拭きをすることが基本です。湿気に弱い素材ですのでなるべく風通しの良い場所に置いてください。汚れは、家庭用中性洗剤をぬるま湯で薄め、布につけて軽く拭き取ってください。編み目のあるものは、ホコリがたまったら、ときどき洋服ブラシなどでお掃除してください。コマメなお手入れがラタン家具を長持ちさせる秘訣です。
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