親から子へ、子から孫へと代々受け継がれていく家具の修理に携わることは多々あります。今回もそのご相談内容でした。
4月に亡くなった伯母の嫁入り道具の手箪笥を形見分けでもらいました。94歳で亡くなりましたので、少なくとも70年くらいは前のものと思われます。かなりシミなどがついていますが、できれば洗いをかけて、大事に使っていきたいと思っています。写真を添付しますので、洗いが可能かどうか、お知らせいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
安田屋家具店からの返信
お問合せの総桐茶棚の洗濯リフォームはできますのでご安心ください。以前リフォームした写真をご覧ください。新品同様にリフレッシュいたします。修理方法についてご説明します。
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現在の状況は、長年の経過により箪笥表面のトノ粉が全て取れた状態となっています。もともとの色は肌色の「トノ粉仕上」であったはずです。修理はまず金具を全て取り外し、お湯で桐表面の汚れを洗い落とします。次に木部を充分に乾燥させた後、さらに鉋で表面を削り、内部はペーパーをかけます。次に木部の割れや破損部分を補修します。
その後、桐たんす砥の粉仕上げといって、表面を削った後に、トノ粉とヤシャブシというカバノキ科の木の実を煎じた汁を合わせたものを塗り、最後に金具を取り付けて仕上げます。尚金具はさびを落とし、黒色またはこげ茶色に塗り替えます。金具は現在の金具を使用します。
ここで問題が一つあります。 4枚の引き戸に描かれている図柄が洗濯することで無くなります。絵柄を残して洗濯する事ができませんので、洗濯後は絵柄が無くなった木地の板戸になります。
洗濯修理費用ですが、現物を見ていないのでどの程度木部修理があるかわからないので正確な金額ではありませんが、総桐たんすと同じ「トノ粉仕上」であれば、税込み118,000円前後だと思います。往復の送料は別途必要です。
総桐たんすの仕上げである「トノ粉仕上」ではなく、一般的な家具と同じ茶色などの塗装仕上げを行う場合は若干価格が安価になります。税込み99,000円前後だと思います。往復の送料は別途必要です。
正確なご修理金額は実物を見させていただいた後に再度ご提案いたします。70年ぶりに洗濯修理をされれば、最低でも70年間はご使用できます。桐たんす職人ではない職人が洗濯修理を安価に行っている場合が多々ありますが、同じ費用をかけるのであれば、確かな技術を持っている桐たんす職人の仕上げの方が格段に素晴らしい仕上げとなります。また耐久性もぜんぜん違いますので、職人選びは吟味してください。
洗濯後にどのような仕上がりになるか、過去に洗濯を行った写真を添付しますのでご覧ください。ぜひご検討賜りまして、大切な家具を洗濯修理をされる場合は信用と確かな技術のある安田屋家具店にご用命ください。
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