先日ご紹介した東京に本社があった家具工場「コスガ」製の代表的な椅子ともいえるカントリーデザインのリビングダイニングチェアー(通称LDチェア)の修理が完了しましたのでご報告します。
今回の修理内容は、椅子の各接合部の緩み、外れを再接着すること。
後脚1脚の木部が割れているので再接合すること。前後脚を補強している貫棒が1本欠損しているので新規に制作して取り付けること。以上の3点でした。
まず椅子木部の各接合部はダボを使用して接合してあります。経年劣化でダボの太さが縮んだり、接着剤が効かなくなったことが原因で接合箇所が緩んできます。しかし強力に接合している箇所もありますので、カナヅチで接合部を叩いて緩んでいるか確認します。
この記事の続きを読む »
強力に接合している接合部を無理に外そうとすると折れたりして破損するので、そのような箇所はそのままにします。将来緩んだときに再修理をしたほうが良いのです。何事も無理をしてはいけません。
今回はほぼ全ての接合箇所が緩んでいました。 強力な接着剤を使用して圧着固定治具で24時間密着させます。そして修理完了した接合箇所は・・・・、
一般の方は、外れた接合部に木工ボンドを付けて叩き入れれば修理できると簡単に考えますが、接着剤を使用して密着させる場合は固定治具で強力に圧着させることが重要なんです。一般家庭では圧着固定治具、通称ハタガネという道具がないので、接着剤が強力に効かないのです。 そのため修理して短期間にまた接合部が緩んでしまうんですね。
そして職人泣かせが、この一般の方が接着剤を使用して接合箇所を修理することなんです。安田屋家具店にも自分で接着したが緩んでしまうので修理をして欲しいとのご相談が多々あります。 どんな種類の接着剤を使用したか不明なので、再接着させるためにこの接着剤を剥がすことがとても大変な作業になってしまうんです。
中途半端な位置で強力に接着してしまった箇所があるとさらにやっかいなことになります。 通常の木工ボンドであれば、接合箇所を水で濡らせばボンドはふき取ることができるのですが、瞬間接着剤などだとこの方法が使用できません。根気よく接着剤を剥がさないとならないんです。
この作業前の手間が修理費用に加算されるんです。
以前にもお話しましたが、椅子に限らずどんな種類の家具でも接合部が外れたり、緩んでグラついた場合は、ご自分で修理しないでください。修理内容は簡単そうに思えますが、ご自分で修理されるより専門家に依頼されたほうが結果的に安価な修理費用で、完璧に修理ができるんです。 ぜひ覚えておいてください。
昔から言うでしょう!!、「もちは餅屋」です。
修理完了した仕上がり具合をご覧ください。
話が長くなりましたので、前後脚を補強している貫棒修理に関しては次回ご紹介します。
関連記事 6月29日「続コスガ製カントリーチェア修理」
関連記事 7月1日「続々コスガ製カントリーチェア修理」
« 元に戻る