一昨日に引き続き、先日ご紹介した東京に本社があった家具工場「コスガ」製の代表的な椅子ともいえるカントリーデザインのリビングダイニングチェアー(通称LDチェア)の修理が完了しましたのでご報告します。
「コスガ」は日本家具工場のスリートップのひとつでしたが、かなり以前廃業しました。しかしホームページを検索してわかったことですが、後継者の方が「コスガの家具」として再建されたようです。うれしい限りです。
詳しくは「コスガ」をご覧ください。
ご紹介するのはコスガ製7251LDCチェアです。 安田屋家具店書庫にて昔のカタログで確認します。
1994年のカタログです。カントリーデザインのページに掲載しています。
1994年ということは今から22年前です。当時の価格で税別45,000円でした。
ちなみに2016年6月現在の価格は、な、な、なんと税込み120,960円。当時の約2.5倍になっていて四代目もビックリです。
さて今回ご紹介するのは、前後脚を補強している貫棒が1本欠損しているので新規に制作して取り付けることです。
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この椅子に使用されている貫棒は、ろくろで作ったクリ棒で、中央部に大きな輪っかが3つ装飾してあるものです。
これと同じクリ棒を製作するには費用がかかってしまいますので、今回は通常の単純な丸棒を使用することにしました。 丸棒の太さは椅子の棒の太さに合わせました。 椅子の接合箇所を緩ませた状態で貫棒を脚の穴に差し入れ、接合部を圧着固定させる時に抜き棒も同時に接着させました。 貫棒は椅子木部と同じ塗装色で塗装仕上げを行います。
クリ棒と単純な丸棒ではデザイン性がまったく異なりますが、パッと見その違和感はあまり感じられません。
じっくりと観察するとモチロン違いに気が付きますが、通常使用においてはインテリア的にも違和感は無いものと四代目は思いますが、皆さんはどうでしょう。
もちろん以前のクリ棒と同じデザインのクリ棒を製作することはできますが、修理費用が高くなりますのであまりお勧めしません。
さて今回の修理費用は、他の接合部分の緩みの再接着も行って、税込み17,000円です。往復の送料は別途必要です。
日本の家具工場のスリートップ(カリモク、マルニ、コスガ)のひとつと言われた「コスガ」が無くなってずいぶん経ちますが、最近は今回ご紹介したような重厚なデザインの椅子がまったくなくなりました。どの工場もほとんど北欧デザインのシンプルで線の細い椅子ばかり作っています。そしてどれも似たり寄ったりの椅子ばかりです。
これも時代の流れなんでしょうね。
デザインは繰り返されるといいますので、いつかまたこの椅子が復活することもあるんでしょうかね。
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