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遠方の家具修理は難しい

先日ご紹介した引き出し修理の後日談です。

修理内容は、破損した引き出しの前板、スライドレールを取外し、同じサイズの引き出しBOXを製作して、前板、スライドレールを取り付けて、以前と同様に使用できるようにする方法です。同じサイズの引き出しBOXを製作すれば、なんの問題もなく修理は完了するはずです、でした・・・・・が。修理が完了した引き出しをお客様宅に発送して、しばらくしてメールが届きました。

「本日、引き出しを受け取りました。ご丁寧に対応していただきありがとうございます。引き出しもとてもきれいに作っていただき感激いたしました。」

よかった、無事引き出しも収納でき、お客様もご満足の様子。と、思ったのもつかの間、次の文章を見て凍りつきました。

「ただ大変申し上げにくいのですがせっかくきれいに作っていただいたのですが、引き出しを収納すると途中で何かが引っかかっている感じで動かなくなり収納することができませんでした。入れる時もちょっと今までのようにスムーズには入りません。引き出しの幅が若干、広がってしまったのでしょうか・・。写真を添付させていただきました。途中まで入っている写真が動かなくなってしまうところです。せっかくご親切に作っていただき引き出しとしても申し分ないのですが収納できないことには使うこともできず・・どうしたらいいものかとこまってしまいました。ご相談にのっていただけると幸いです。」

えっえー!!!
えらいこっちゃー。
引き出しが収納できなければ、修理が完了しない。な、な、なにが原因なんだ???

しばらくしてお客様から再メール

「引き出しの幅を計ると、2ミリほど幅が大きくなっているようなんです。これが原因
なのでしょうか」

引き出しBOXの幅が2ミリ大きくなっている????、う~ん、全く同じに製作したはずなんだけど、2ミリの違いは目視ではわからないなぁー。発送前にちゃんと検品したんだけどなぁー、困った。

お客様に再度引き出しを送り返してもらうようにお願いいたしました。数日して送られてきた引き出しBOXと、安田屋家具店に保管してある破損した以前の引き出しBOXのサイズを確かめてみると・・・・、やはりお客様のご指摘どおり横幅が1.5ミリほど大きくなっているようでした。直ぐに引き出しを持って職人工房に直行。

事情を話して、引き出しBOXの両側板を削ってもらいました。

今回の引き出しは単純なスライドレールを使用しているので、本来は1~2ミリ程度のサイズの違いがあっても多少の余裕を持たせているので問題ないはずなのだが、今回はそれができなかったようです。

通常、実店舗で同様の修理を行なう場合、実際に引き出しを持参して元通りに収納させる事を行なうので、その時に問題があったりした場合、原因もわかりますので、すぐにその場で処置を行ないます。したがって今回のような引き出しが収納できない場合もすぐにその原因がわかり、削ったり、スライドレールの位置を調整したりと、微調整ができます。

しかし遠方の場合、お客様宅を訪問することもできませんので、微調整ができません。今回の場合も、本当の原因はわかりません。先に述べたように通常のスライド丁番金具レールの場合、横幅に数ミリ程度の遊びがあるので、多少のサイズ違いは問題ない場合が多いんです。しかし微調整ができない場合は、まつたく同じサイズか、ほんのわずか幅を小さめに製作しないといけないことを勉強しました。貴重な体験です。

引き出しBOXの幅をほんの少し小さくして、再度お客様宅に発送しました。お客様からは、代金引換のゆうパック伝票が同梱されていましたが、安田屋家具店のミスです。お客様に再度送料のご負担をいただくことはできません。お客様のお心遣いに感謝しながら、当然のことなんですが安田屋家具店の元払いで発送をいたしました。

数日後、お客様からメールをいただきました。
「修理いただいた引出しですが、昨日受け取りました。何度もお手数をおかけしてしまいまた、にもかかわらずご丁寧に対応してくださり本当にありがとうございました。早速、収納をしてみました。直していただいた大きさは問題なくきちんと入りましたのでご安心ください。」

よかったぁー、今度は無事に修理が完了したんだ、と思ったのですが・・・・、続きがありました。

「ただ・・すみません、お伝えしようかと迷ったのですが、今後の参考にしていただけたら・・と思いあえてお伝えしておきます。実は収納する時にスムーズには入らなくちょっと引っかかって収まるようになりました。素人目で見たところ脇のネジがちょっと斜めに止まってしまっているようで頭がきちんとは平になっていないのが、出し入れの時にちょっと引っかかってしまっているのではないかと思います。

でもちゃんと入りますのでどうかご心配なさらないでください。今後のトラブルの原因にならないようにお伝えしたまでです。今回の事では本当に助かりました。

都内でも探してみたのですがほとんどが2万円くらいかかってしまうようでどうしようかと思っていました。そんな時にネットで安田屋家具店様を知りました。普通ならお会いできなかったようなことでもネット上でこのようにご縁ができネットの普及にはありがたく思います。

ただネット上ではトラブルもあると聞きますのでどうか今後、安田家具店様がそんなトラブルに巻き込まれることがないことをお祈りしています。遠方での難しさもあるかと思いますが今回の事で嫌にならず続けていただけたらまた救われる方がいらっしゃるように思います。」

スライドレールを止めたネジが・・・・、検品でまたまた見逃してしまった。実際にご訪問しての修理とは違って、商品のやり取りだけでの修理の難しさをはじめて知りました。実際に訪問していれば、直ぐに修復してしまえるんですが・・・・、難しいなぁー。ただ今回はお客様のお心遣いに救われました。感謝いたします。また親身になってのアドバイス、心にしみました。今回の経験をさらに活かし、嫌になることなく家具修理を続けていきます。そう誓った四代目でした。

A様、本当にありがとうございました。
引っかかるビスは、一度取外していただき、スライドレールに開いている他の取り付け穴を使用して、真っ直ぐにネジを止めていただければ簡単に修復できます。お客様のお手をわずらわせること申し訳ございません。

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7月 11, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

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