KSS刻印の金具は、大阪の「木村新(キムラシン」)」工場の商品です。現在主流である「スライド丁番」がまだ普及する前の時代にアングル丁番の欠点である扉の建付けを微調整できないことを少しでもできるようにと考えた金具が、今回紹介する「スライドアングル丁番」です。この金具についてのご相談がありましたのでご紹介します。
お世話さまです。ドアが外れてしまい、24×24の蝶番らしいことがわかりましたが、なにか種類の違う感じがします。特に特殊な機能は要らず閉まればいいのですが、全く同じものが必要でしょうか。お知恵をいただけると幸いです。

安田屋家具店からの返信
この金具はかなり古い金具です。すでに生産終了し、まったく同じ金具は現存しません。この構造の丁番の欠点である扉の微調整ができないことを、受座金具を用いることで若干微調整ができるようになった苦肉の策の金具です。

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もともとのこの金具のサイズは、扉側が24mm×受座金具と接合した状態での家具本体側サイズ17.5mmの「24×17.5」サイズと、扉側が30mm×受座金具と接合した状態での家具本体側サイズ17.5mmの「30×17.5」サイズの2種類あります。

家具本体側に取付ける部分に接合する受座金具を取外せば、過去の事例では家具本体側サイズが20mmになるはずです。

家具本体側に取付ける部分に接合する受座金具を取外せば、過去の事例では家具本体側サイズが20mmになるはずです。

過去の事例で「24×20」サイズの金具(扉側24mm、家具本体側20mm)を代替金具として使用しました。その際、家具本体側に取付ける金具部分に接合する2.5mm厚の受座金具の替りに、2.5mm厚の合板を金具の下に敷いて取付けましたので、今回もこの方法でうまく取り換えられるのではないかと思います。




ただし扉側サイズが30mmの場合は、代替金具がありませんので、現在主流の「スライド丁番」に取替える修理となり、一般の方が修理するのは難しいので、家具修理店や建具店に依頼されることをお勧めします。
扉側に取付ける金具部分のサイズが24mmであれば、ご注文される代替金具は「24-20」となります。尚、2.5mm厚の合板材が別途必要です。ホームセンターで販売されていますが、必要であれば当店がご用意しますのでお気軽にお申し付けください。尚、別途合板材費用が必要となりますのでご了承ください。
お問合せの「24×24」サイズの金具では代替えできませんのでご注意ください。
また扉にあいている金具をはめ入れる円形溝の形状が異なります。1mmない程度ですが代替金具のサイズが現在空いている円形溝よりも大きいので、代替金具をたたき入れるか、場合によってはヤスリで少し円形溝を彫り広げる作業が必要になるかもしれません。

過去の事例では削る作業をすることなく、無理やり叩き込めばはまっている事例が多いです。
お客様からの返信
専門的、そして、とてもわかりやすいご説明を、本当にありがとうございます。昨日、隣の扉が誰かに修理?されており、24×24のRabbitと刻印されている金具が使用されていました。このサイズでいいのかと思い、「24×24」サイズの金具を安田屋家具店オンラインショップで3個購入してしまいました。
こちらの説明を頂いてから、再度家の蝶番を見ると、機能はしていましたが、蝶番がひん曲がっていました。やはり、24×20でした。真摯なご説明をありがとうございました!!
もし、交換が可能であれば(間に合えば)「24×20」3個に交換して頂けるとありがたいです。トンカチで叩き入れる発送がなく、無理だと思って同じ形のアーチのの物を探していました。ご説明のおかげです。もし間に合わなければ大丈夫です。ありがとうございます。
安田屋家具店からの返信
昨日ご注文をいただきましたI様ですか。そうであれば本日金具3個をクリックポストにて発送してしまいましたが、郵便局にて回収できました。「24×20」サイズ金具に取替えて再発送いたします。
お客様からの返信
本当にありがとうございます。なんとお礼を申し上げてよいのか……、この度は様々なご配慮をいただきありがとうございます。
数日後、無事お送りした「24×20」サイズ金具で取替修理ができたとのお喜びの声が届きました。
I様からのご連絡
最後まで閉まるか心配でしたが、無事に取り付けができました。

なんとピッタリでした。
合板も同封して頂き、その暖かさに涙出ました。ありがとうございます。

よく使い方を理解出来ておりませんで、後からYouTubeで理解しました(笑)。適切な蝶番、取り付け方だけでなく、沢山の暖かいご配慮をありがとうございました!
お役に立てて光栄です。