昨年お預かりした飛騨・高山に工場がある飛騨産業のロングセラー商品であり、代表的なカントリーデザインのウィンザーチェアーの修理が完了しました。
今回のご修理内容は、ウィンザーチェアー修理で一番多い座板割れと、背板を支える背棒の割れでした。
安価な方法での修理を希望されたので、安田屋家具店専属職人による背棒の圧着接着修理となりました。圧着接着なので、全ての棒をいったん取外しての組直し作業が必要ないので修理費用が安価になるんです。
ただし新しい棒と取替えた修理と比較すると若干耐久性が劣るかもしれません。とはいうもののすぐにまた割れてしまうなんてことにはなりませんのでご安心下さい。
割れた部分の筋は見えるものの、強力に接合してあります。確認のために四代目が肘部分を揺らすもののびくともしません。職人曰く「完全に接着してあるので、まず取れることは無いから安心せぃ」とのことです。割れた部分もわからなくなっています。
次に修理で一番多い座板割れですが、こちらも切断面をきれいにして強力な接着剤を使用して圧着接着を行います。さらに補強板を座面裏に取り付けます。割れた板またぐように補強板を取り付けるので耐久性がアップします。補強板は座面の裏側なので目立ちません。取り付けてあることは見えません。
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座面表面もデコボコをなくすために紙やすりを掛けてから再塗装をしますので、きれいになっています。ただ割れた状況によっては、接着時にどうしても段差が生じる場合がありますのでご了承下さい。今回の修理金額は、座板の割れと背棒の割れの2個所の修理で税込9,000円でした。
さてここで今回のような板や棒が割れた時の修理費用を安価にするための極意をお伝えします。
家具屋の極意 板や棒が割れた時は、自分で接着をしないこと。 ボンドや瞬間接着剤を絶対に使用しないこと。これさえ守れば安価な修理費用で直ります。 ではなぜか。
座板が割れる原因は、座板は1枚板ではなく、数枚の板をつなぎ合わせた構造になっています。経年劣化により接合面の接着剤の保持力が弱まり、はがれてしまうことです。なので割れたときの切断面はツルツルっときれいな状態です。ところがこのことが大きな問題になってしまいます。
切断面がツルツルっとしているので、ボンドや瞬間接着剤を使用すれば簡単に自分でできるだろうと思わせてしまうんです。で、ご自分でたっぷりとボンドや瞬間接着剤を切断面に塗って張り合わせてしまいます。ところが圧着治具を使用しないので、接着強度が弱く、直ぐにはがれるか、部分的にはがれてしまい、どうしようもなくなって修理に持込まれます。
するとたっぷりと塗ってあるボンドや瞬間接着剤を丹念に取り除く作業が必要となります。ボンドや瞬間接着剤を塗るときは簡単なんですが、これを除去するのはとてもとても大変で根気が要る作業となります。四代目もやったことがありますが、強力に接着している部分があったり、木部が掛けたりして大変な重労働でした。
割れたままの状態であればこの除去する余分な手間が必要ないのでその分修理費用が安価になるんです。なので・・・・、是絶対にご自分でくっつけようと思わないこと、やらないことが極意なんですね。おぽ得ておきましょう。
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