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最悪な桐たんす洗濯

 今日ご相談があった「桐たんす」洗濯修理を行いたいたんすを預かってきました。 お母様がお嫁入りのときにご持参された桐たんすだそうです。今から約60年ほど前の「本三方桐たんす」 です。(本三方とは、たんす・引き出しの前面と両側面に桐材を使用、残りの箇所はスギ材またはモミ材を使用したたんすの呼称)

 状態を見て直ぐに以前洗濯をされたことのあるたんすだと思い、お客様にご確認するとやはり以前お母様が洗濯修理にだされたことがあるとのご返答でした。

 以前行った洗濯修理の仕方が最悪な仕上げでした。恐らく洗濯修理価格は一般的な価格よりも安価であったと思いますが、その分様々なところで手抜き仕事がしてあります。このような手抜きをした最悪な仕上げ方をした桐たんすを見たのは今年に入って2回目です。同じ家具業界人として恥ずかしく思い、怒りが込み上げてきます。

 何が最悪なのかご紹介します。

 まず前回の洗濯ではお湯でたんすを洗っていません。その証拠に本体側面の割れ部分にテープを張って補修した部分のテープをはがすと真っ黒な木地が現れました。お湯で洗ってあれば白木地の色(ナチュラル色)が現れなければなりません。真っ黒な木地が現れるということは、お湯で洗わずに預かった状態の上に「トノ粉」と接着剤を混ぜたものを表面に塗っただけの仕上がり、家具業界で言う「ドロ塗り」という最悪な修理方法です。

 次にこの木部の割れ部分、本来であれば同じ材質の桐材で埋め木をして補修しなくてはならないのですが、手を抜くために普通の紙テープ()を貼って、その上に「トノ粉」を塗ってあります。お届けした時点ではお客様にはわからないのですが、年数が経過すればテープが剥がれてきて不思議に思われます。

 テープを剥がしてみます

 次に木部補修で同じことが引き出し内部でも行われていました。

 引き出しの底板は、お部屋の温度や湿度の変化で端切れてしまっている場合が多いのですが、この部分には当然同じ材料で埋め木をして隙間を無くすのですが、手間を抜くために紙テープを貼ってあるだけです。さすがにこの部分はお客様も気がつかれる状態だと思いますが、職人がどのように説明してお客様が納得されたのか知りたいものです。

 

 次に引き出し底板同様、たんす本体の背板も温度や湿度の変化で端切れてしまっている場合が多いのですが、引き出し同様この部分は当然同じ材料で埋め木をして隙間を無くすのですが、その手間を抜くためにベニヤ合板が背板全面に釘で貼り付けてありました。

 

こうすることによって端切れて出来た隙間から光が漏れないので、埋め木仕上げをした状態と同じように見えるからです。といってももちろん背板を見ればベニヤ合板が貼ってあることは一目瞭然です。

 このような仕上げ方でお客様にお渡しし、何事もなかったとは驚きです。

 今回、安田屋家具店にご相談いただいたのは、このたんすを持参した方のお嬢様ですので、最悪な洗濯方法であったことは知る由もありません。こと細かく状況をご説明いたしましたところ、大変驚かれました。無理もありません。

 今回の洗濯修理内容としては、金具を取外し木部全てをお湯で洗います。その後乾燥させ、木部表面を削り、傷を補修します。たんす側面の割れ部分には桐材で埋め木をして補修します。

 たんす前面である引き出し前板、本体の見付け部分は、新しい桐材柾目を貼ります。 たんす本体の背板は、新しい桐板にはり替えます。同様に引き出し底板もはり替えます。

 上置のふすま扉は新しく桐材で作り直し、ふすま部分は桐板または、新しいふすまに取り替えます。(ただしお客様がお母様の想い出として現在のふすま使用をご希望の場合は現状のふすまを使用します)

 総桐たんす仕上げであるヤシャ液を塗り、トノ粉仕上げを行います。その後、防水仕上げとして「ロウ」を表面に塗ります。

 最後に取り付ける取手金具は、新しい金色の金具に取り替えます。側面の金具は現在の金具のさびを落とし黒い色に塗り替え使用します。

 ふすまをどうするかによって多少価格は変わりますが、今回の洗濯修理費用は税込16万円。ただし送料は別途となります。 桐たんす1本を一人で仕上げる桐たんす職人が仕上げますので、価格的に大変お値打ちです。 他店でたんす前面を新しい桐柾目材を貼り付ける仕上げ方を行った場合、絶対にこの価格では出来ません。

 桐たんす洗濯をお考えの方は、ぜひ一度安田屋家具店にご相談ください。絶対にお値打ちです。

 尚、当店の職人は引き出し内部、本体内部等に関して、お湯で洗った後に漂白剤(酢酸系の溶剤)を使用しませんのでご了承ください。(漂白剤を使用すると木地をいためます) 漂白剤を使わない場合、これらの部分の色の変化は現状と大きく変化していないように見えます。ただしきちんとお湯で洗い汚れ落とし行っていますのでご安心ください。

 今回のような桐たんすを一人で作れない、いわば桐たんす製作の修行をしていない、いわば素人同然のセミプロが洗濯修理を行っています。その大半は、もともと親が桐たんす職人で、その息子さんが修行もせず見よう見まねで行っているケースが多いようです。桐たんす洗濯修理を依頼する場合、信頼の出来るお店に依頼しましょう。

11月 9, 2009 · Posted in 家具リフォーム・修理  
    

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