押入れたんすの引出し修理のお持込がありました。
材質は総桐材です。

今回のご修理は、引き出し修理の中で一番多い「前板の外れ」でした。

前板の取付方法を確認すると、引き出し側板と前板をダボで接合してあるだけでした。前板の厚みは15㎜ほどと薄っぺらい材料です。その薄っぺらい木口に、木口の厚みより数ミリ小さい直径のダボ穴をあけてありますので、その部分の強度は低くなります。また引き出しを引き出す時には、前板を前方向に引っ張るので、構造上当然ダボが抜けてしまうことが考えられます。

また価格を下げるために大量生産する場合、接合させる箇所に接着剤をたっぷりとつけません。なぜなら接着強度を高めるために、接着剤をたっぷりと付けてから接合すると、接着剤がはみ出します。そのためはみ出した接着剤を丁寧にふき取る作業工程が必要となり、人件費、作業費のアップにつながり、商品単価も高くなってしまう。そのため接着強度を重視するよりも、作業工程を省略することを重視するので、接着剤が絶対にはみ出さない少量しか接着剤を付けないのです。

今回の引き出しを確認しても、ダボの先端に申し訳ない程度にほんのちょっとだけ接着剤が付けてあるだけでした。接着面の木口にはまったく接着剤を付けたあとがありません。これでは接着剤による接着強度はほとんどありません。ダボの差込だけで前板を接合しているようなものです。衣類を収納板重量のある引き出しを前に引っ張り出していると、徐々にダボが抜けてきます。さらに年数の経過とともに室温変化・乾燥具合などによりダボが縮んでいくので、さらに前板が外れやすくなってしまうのです。

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5月 13, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

今回の引出し修理は、押入れたんすの前板が一部割れてしまったという内容でした。

階段から落としてしまったそうです。
正面向かって右上部の桐無垢材の前板が割れてしまっています。

通常このような修理は、割れてしまった木片を強力な家具専用の接着剤で圧着固定します。その後、必ず割れた箇所にはわずかな隙間ができますので、パテで埋めます。そして前板を再塗装して仕上げるので、割れた箇所やパテの跡は目立ちません。

ところが今回の引き出しは、桐無垢材で作られた無塗装の木地仕上げです。塗装がされていません。そのためパテ埋めをした場合、パテの部分が目立ってしまいますし、パテ表面がむき出しとなった状態ですので年数の経過とともに取れてしまうことが考えられます。かといって引出しを作り直す方法もありますが、金額が高くなってしまいます。

そこで安価な修理金額にするための今回のご修理方法は・・・・、

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5月 15, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

お客様からデザイナー家具のご修理のご質問がありましたのでご紹介します。

「Vitra社製の「ノグチコーヒーテーブル(ウォールナット色)」を愛用しているのですが、購入から6~7年経って色褪せてしまいました。特に直射日光の当たっていた部分が白っぽくなりました。先日、着色ニスを使って自力で再塗装してみたのですが、ムラができてあまり美しくない状態です(やすりもかけずにそのまま複数回重ね塗りしました)。色目もイメージしていたものと違います。

その状態から貴社にて再塗装していただくことは可能でしょうか。また、費用はおおよそおいくらぐらいになりそうでしょうか。」

お問合せのノグチコーヒーテーブル(ウォールナット色)の塗替えですが、再塗装、塗り直し修理は可能です。現状がどのようになっているかで若干修理費用が変わりますが、税込16,000円~22,000円内で塗替え修理ができるかと思います。ただし、お客様宅から当店、当店からお客様宅までの往復の送料は別途必要です。脚は板状になるので送料はそれほどかからないと思います。

着色ニスを塗られてしまいましたか。

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6月 4, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

先日お預かりしたイサム・ノグチデザインの「ノグチコーヒーテーブル」の板脚の塗り直しが完了しました。お預かり当初はこんな状態でした。

お客様自身で市販のニス塗装を塗られたとのことで、テカテカに輝いています。また表面はゴテゴテになってしまっています。さらにすでに塗装のはがれも生じていました。

塗り直す前に、板脚全面の塗装面をすべて削り、木地の状態にしなくてはなりません。先日お伝えしたようにこの根気が要る作業を数日間行ないました。そして再塗装です。今回使用する塗料は、ホルムアルデヒトなどの含有率がないエコ塗料のウレタン塗装仕上げです。

お客様からのご指定は、以前の色よりも濃い「ウォールナット色」でした。修理前よりも濃い色になるので特に問題はありませんでした。しかしお客様のイメージされている色と、私共がイメージしている「ウォールナット色」が必ずしも同じとは限りませんので、職人に色見本を製作させ、それをお客様にお送りしました。同時に「ウォールナット色とのご指示がございましたので、色板見本をお送りいたしました。到着しましたら色を確認して下さい。ただ現在の脚の木材の色がございますので、実際の仕上がりは、若干色見本と違いますことをご了承下さい。また色が濃い色となりますので、薄い色と比較して木目が目立ちにくいイメージとなりますのでご了承下さい。またツヤですが、色見本板は全消しでツヤがまったくない塗装をしてありますが、3分程度のほんの少しのツヤをつけた最終塗装を行なう予定です。」との修理内容についてのご説明文を同封いたしました。

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6月 27, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

お客様が子供の頃から自宅にあった座卓のリフォームのご相談がありました。早速見に行くと、ケヤキ無垢材の座卓でした。

サイズはとてもコンパクトな「四尺」と呼ばれる大きさです。家具業界ではいまだに日本古来の大きさの呼称である尺貫法が生きています。四尺とは、約120cmです。いまではすっかりこの「四尺座卓」は少なくなりました。もっとサイズの大きい「五尺(150cm」、「六尺(180cm)」の種類は多いのですが、コンパクトな4尺サイズはめっきり種類が少ないようになってしまいました。

今から約70年ほど前の座卓の表面は、ご家族の想い出がそこかしこに刻み込まれています。この傷こそが一家の歴史そのものですね。お客様も懐かしく子供時代に使用していた座卓の想い出を語っていただきました。

脚も天板も全てケヤキの無垢材が使用されています。

安田屋家具店の地元の職人でも塗り直しができるのですが、座卓製造の本場である四国、高松の座卓工場の社長に修理見積を依頼すると、運賃を計算しても地元の職人と大きな金額の差がないことがわかりました。そこで今回は、四国・高松の工場で塗り直し修理を行なうことにしました。

修理方法としては、天板と幕板付き脚を取外し、それぞれの全表面を削ります。無垢板なので深い凹み傷もなくなるように削ります。その後、ウレタン塗装仕上げを行い完成させます。

早速、お客様宅から座卓をあずかり、安田屋家具店にて梱包作業を行い、すぐさま高松に発送です。到着後、10日間前後で仕上がる予定です。仕上がり具合は、後日またご報告いたします。

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7月 1, 2012 · Posted in その他の家具修理  
    

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