有名な椅子「チェスカチェアー」
名前は知らなくても一度は見たことのある椅子。
スチールパイプの流れるようなフレームと木と籐シートによる背面と座面。カンティレバー構造によるふわりと浮いたような座り心地が特徴です。
1928年にデザイナー:Marcel L Breuer (マルセル・L・ブロイヤー)によってデザインされ、娘の名前にちなんで「チェスカチェア」と名付けられました。93年経過した今でも新鮮な印象を受けます。
デザイナーのマルセル・L・ブロイヤーはこのチェスカチェアの特許を取らなかったため、たくさんのリプロダクト品が多く出回っています。昔は喫茶店でも使用されていましたよね。
いろいろな工場が作っていたのですが、今はあまり見かけなくなりました。四代目が知る限り昔から生産続けているは1社くらいですね。
そんなチェスカチェアーをオークションで購入したお客様から、座面の籐シートの破れを張替えて欲しいとのことで、わざわざ安田屋家具店までご持参いただきご依頼を受けました。なぜか今年はチェスカチェアーの張替依頼が数多くありますね。
座面サイズは、横幅430mm×奥行400mm。
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使用してある籐シートは「五分カゴメ編み籐シート」材です。
張り方は「溝決め込み仕上」です。
座面サイズが大きいので、座面裏に補強材として籐皮を撚った籐バンドを十文字に取付ける「十文字補強」をご提案いたしました。お客様から張替+十文字補強のご依頼を賜りました。
チェスカチェアの場合、荷重がかかる座面の張替のみが多いです。荷重のかからない背面はほとんど破れることが少ないからなんです。ただ座面のみ張り替えた場合、張替当初は背面の古い籐シート色と、座面の新しい籐シート色が異なるので少し違和感がでます。
でも年数が経過するごとに新しい籐シート材が徐々にアメ色に変化していきます。数年後には張り替えなかった背面と同じ色になりますので、色の変化をお待ちください。それも楽しみの一つです。
お客様の中には、着色塗装仕上げをして背面と同じ色にして欲しいと相談されることがあります。しかしチェスカチェアの背面・座面共に籐シート材は塗装仕上げがされていません。年数の経過でアメ色に変化していった自然の色です。人工的に同じ色に塗装することはできません。
また着色塗装した場合、色の変化がありません。張り替えなかった背面は塗装していないので、自然の色として変色をしていきます。そのため背面と座面の色が同じになることは決してありません。
また塗装仕上げを行うと籐材を塗料でコーティングしてしまいます。それは弾力のある籐材を固めてしまうことなので、籐材が硬くなり切れやすくなり、耐久性が劣ります。特に荷重のかかる座面には塗装仕上げは行わないのでご理解ください。
張替費用は、座面のみの張替は税込み16,000円です。
オプションの「十文字補強」加工費用が税込み5,000円です。補強材は張替修理時でないと加工できませんのでご注意ください。往復の送料が別途必要です。
今回のご修理合計金額は税込み21,000円です。お客様自身で持込・引取をされますので往復の送料は必要ありませんでした。
衆の期間はお預かり後約10日です。
仕上がりましたら美しい仕上がり具合をご紹介します。
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