婚礼たんすの一大生産地である広島県府中市の家具工場で作られた30年ほど前の婚礼洋服たんすの扉に使用されている丁番金具が破損したため、取替修理を依頼されました。
まずは丁番に刻印されている(丁番刻印)MF8Aと、(受座金具刻印)BX4T4Z3を基に代替金具を探し、破損金具を生産したのと同じ工場の後継金具で代替えできることを突き止めたのです。
扉1枚に4個の丁番が取付いているとのことで全部取り替えです。ちなみに1枚の扉に新旧の金具が混在して取付いていると、扉の開閉に支障が生じたり、耐久性が落ちて破損しやすくなります。そのため同じ金具が現存しない場合は全て同じ金具に取替える必要があります。
今ではほぼ需要が無くなり、広島県府中市の家具工場でもほぼ作られなくなった懐かしい婚礼家具です。
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鏡が取付いた重量のある扉の金具が破損しています。金具の破損扉の典型です。
丁番本体が根元でポキッと折れてます。4個すべて同じ状態です。さらに一番下の扉にあいている円形溝が欠けています。
破損金具を取外した後、欠損している部分に補助木を取付けます。欠損したままだと丁番本体に無理な力が加わり破損しやすくなるので補修が必要です。
扉の材質は無垢板ではなく、繊維板です。あまり強度が無いので補助木を接着剤と釘で固定しました。
次に扉の円形溝に丁番をはめ入れ2か所のネジ止めで固定します。ネジ位置は新旧金具とも同じ位置なので簡単にできます。ただネジ穴を補強するため穴に爪楊枝を1本差し込んでからネジ止めします。
次に家具本体側板に取付いている受座金具を取外します。
古い受座金具のネジ位置は4ヶ所。新しい金具は3ヶ所になっています。古い受座金具後方の上下2か所のネジ位置と新しい受座金具後方の上下2か所のネジ位置は全く同じです。そのため古い受座金具のネジ位置がそのまま使用できますので、面倒なネジ位置を割り出さなくても簡単に新しい金具取付けが出来ます。
ちなみに古いネジ穴を補強するため爪楊枝を1本穴に差し込んでからネジ締めをすると確実にネジが効きます。
古い金具のネジ穴を利用して新しい金具を取付けた後、3か所目のネジ位置のネジ止めを行います。新しいネジ位置となりますので少し下穴を開けてからネジ止めすると簡単にできます。
古い金具前部の上下2か所のネジ穴は見える状態となります。気になるようでしたら直径3mmの木製丸棒で埋木されるとよいです。丸棒はホームセンターで1本150円程度で販売されています。
扉側に丁番本体、家具本体側板側に受座金具を全て取り付けたら、いよいよ扉を家具本体に取付ける作業となります。
今回取付け丁番は「ワンタッチ式」です。これは丁番本体を受座金具に押し込めば接合する方式です。以前は押し込む方法にコツが必要でしたが、今はどの位置から押し込んでも接合する方式となり、より簡単に取り付けができるように進化しています。
扉取付け作業は後日ご紹介します。 つづく
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①丁番MF8A+BX4T4Z3
➁丁番MF8A+BX4T4Z3
➂丁番MF8A+BX4T4Z3
④丁番MF8A+BX4T4Z3
⑥丁番MF8A+BX4T4Z3取替
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