以前ご購入いただいた飛騨産業製造のダイニングチェア「円空」シリーズのSE220Aに不具合があるとお客様からご連絡をいただいた。早速スタッフが訪問して、椅子をお預かりしてきた。
安田屋家具店に到着した「円空」SE220A アームチェアを確認すると・・・・、向かって左側の背もたれがグラグラしている。以前にこの椅子の張替を行ったことがあるスタッフは、背もたれは確か木部に引っ掛けてあるはずなので、その引っ掛け金具が取れてしまったことが原因だと直感した。何事も経験していないとわからない理屈です。
この「円空」SE220A アームチェアも表面から見ただけだと、背もたれは固定してあり外れないようになっているように見えますが、意外な仕組みで取り外しができるんですね。 スタッフは座面を取り外しました。座面は椅子裏面の5箇所でビス止めしてあるだけなので簡単に取り外しができます。
続いて背もたれの取り外しを行います。
がっ・・・・、しかし・・・・、
どういうわけか背もたれが外れません。
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背もたれに取り付けてあるビスの頭を、木部のこの部分に取付けてある引っ掛け金具に上から引っ掛けてあるだけのはずです。仕組みからいえば、背もたれの下部を上方向に押上げれば簡単に外れるはずです。どんなに力を込めて押上げてもびくともしません。
自力での解決を断念したスタッフは安田屋家具店専属の職人工房に椅子を持込みました。職人は背もたれ下部を確認したのですが、固定してあるビスは見当たりません。そこでバールのようなものを背もたれ下部に差込んで力まかせに押上げるものの外れません。
再度試みようとしたところをスタッフが制止しました。
これ以上力まかせに行うと椅子が破損してしまうと考えたのです。これは正解でした。
家具屋32年の四代目の経験からいうと、家具の仕組みはいたって単純で、いずれも取外しの際に力まかせに取外すようにはなっていません。力まかせに取ろうとする行為は、何かが違っているわけです。だからそのまま行うと取返しのつかない破損につながるのです。過去に四代目も何度か家具を破損させてしまったことがあるのでわかるんです。
破損した後、後悔しながら仕組みを確認すると、たいてい方法が間違っているんですね。 職人工房での背もたれ取り外しをあきらめたスタッフは、「円空」SE220A アームチェアと一緒に安田屋家具店に戻ってきました。
四代目も経緯を聞き、背もたれをじっくり確認するものの正確な取外し方がわかりませんでした。 どうする四代目!! このまま背もたれを外すことができずに修理不可となるのか。どうする・・・・! つづく
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