飛騨産業製作の「円空」SE220A アームチェアの背もたれ取外しに戸惑っている安田屋家具店。
どうやっても取外しができないとあきらめた四代目は、もうかれこれ40年近く担当していただいている飛騨産業のN氏に連絡をして、取外し方を聞いたのでした。 わからないときは、素直に聞くことが大切ですね。 するとN氏からは意外な言葉を聞いたのでした。
「ネジで固定してあるので取れないんですよ。ネジは取り外しました??」
「えっ、ネジ?、ネジなんてどこにも無いよ」
「いえいえ、ちゃんと背もたれ下部にネジで固定してあります。よ~く確認してください。ネジは見えないようにしてあるので、指先で背もたれの下部の端のほうを確認してみてください」
N氏からそう言われた四代目は、背もたれの下部のどこかにネジで固定してある箇所があると思いながら指先の触感を確かめてみると・・・・、おやおや????、ひょっとしてこれかな。
布地の一部に穴が開いている。
指先をその穴に入れると・・・・・、
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おっ!、あったあった、これはネジだな。反対側の端も確認すると、やはり穴が開いていて、ネジの感触があった。 この2箇所でネジ止めしてあれば、どんなことをしても背もたれが外れないはずだわ。 プラスドライバーを穴に差込んでみるとネジ頭の+にはまり込んだ。左回りにプラスドライバーを回すと・・・・、ネジが出てきた。
反対側も同様にしてネジを外した。
これで背もたれが外れる。
そう確信した四代目は、背もたれ下部を上に押上げてみると、なんと簡単に背もたれがスポッと外れたのでした。
何事も理屈を知らないといけませんね。 背もたれを取り外した後の木部を見てみると、取付けてあるはずの引っ掛け金具が外れてしまっています。ネジが抜けてしまったことが原因のようです。
しかしここでまた疑問が。 背もたれは当然前からの力しか加わらない場所なので、背もたれの裏側で固定してある引っ掛け部分が取れるはずが無い。引っ掛け金具をネジごと抜けるようにするには、背もたれ裏側から前面に向けてかなりの力をかけないと外れないようになっています。しかし現実的には外れてしまっている。どういうことが原因で外れたのかが、まったくわからないんですね。 家具修理にたずさわっていると、どうやったらこんな風に破損する??、と思ってしまう修理が多々あります。
例えば、ダイニングチェアーの脚が折れたなんていうのも多々ありますが、いざこの椅子の脚を折ってみようとしてもなかなか折れるものではありません。たまに四代目も引取り処分の椅子で試すのですが、意外に家具って壊れないもんなんですよ。チャンスがあったらやってみてください。 つづく
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