両開き扉が、左右の扉がぶつかって閉まらないという修理に四苦八苦する四代目。
スライド丁番が使用されているので、金具微調整で解消できると考えたが、浅はかでした。扉同士がぶつかる根本的な原因を突き止めないと修理できないことがわかった四代目。
左扉の古い丁番が破損したため、左扉だけ丁番金具を取替えた後、扉同士がぶつかるようになったので、原因は取替えた新しい丁番金具ではないかと考えるのです。
会社に戻り、写真を撮った新旧の金具をよ~~く見比べてみる。
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丁番本体と受座金具が接合する部分の形状が違う。取替えた新しい金具はヘコミが無く直線。取替えていない古い金具は少しヘコミ部分がある。この違いはなんだ。直ぐにカップ径26mmのミニスライド丁番を調べる。すると・・・、
なんと、ミニスライド丁番は「全カブセ」が2種類あることがわかった。それはカブセ量が14mmの丁番と、
19mmの丁番である。
ははぁーん、これが原因だな。
ほんのわずかな違いです。
受座金具と接合する丁番下部にへこみがあるか、へこみが無いかで区別できます。
一般的にスライド丁番は「全カブセ」「半カブセ」「インセット」の3種類。その中の「全カブセ」とは、扉を閉めた時に扉の端が家具本体側板の木口をほぼ全てかぶさった状態になること。
「半カブセ」は、扉を閉めた時に扉の端が家具本体側板の木口の半分までかぶさった状態になること。「インセット」は扉を閉めた時に扉が家具本体側板にかぶさらない状態のことである。
今回の破損した丁番は「全カブセ」タイプ。通常はカブセ量は1種類しかありません。しかし・・・・、
ミニスライド丁番は、小さくて軽い扉に使用される金具です。取付ける家具本体も小さな家具の場合がほとんどです。そのため家具本体側板の厚みが、通常の20mmの場合と、薄い15mmの場合があります。
そのためカブセ量が通常の19mmのみの場合、側板の厚みが15mmに使用すると扉の端が家具本体から4mmほど飛び出てしまいます。そのため側板の厚み15mmに使用するためにカブセ量14mmの丁番を作っているというわけです。
N様宅で取替えられた左扉の新しい丁番の選択が間違っていることが根本的な原因であることがわかった。本来は破損金具と同じ19mmカブセの丁番を使用しなければならないのを、14mmカブセの丁番を使用したのが原因です。
14mmカブセの新しい丁番に取替えられた左扉は、本来の位置よりも中央部分に5mmほど移動してしまった。そのため右扉とぶつかり、扉が閉まらないわけです。原因がわかれば、修理は簡単です。金具を本来の金具に取替えればよいわけです。
取替えていない右扉の古い金具を確認すると、扉に取付ける金具部位に亀裂が見られます。これは直ぐに割れることが確実です。同時に取替えることをお客様にご提案。
さらに家具本体側に取付けてある受座金具も、
新しい金具に取替えることをお勧めしました。
数日後、金具が入荷したので再びN様宅を訪問して修理作業を行った。
ミニスライド丁番本体も、受座金具も取付ネジ位置が同じだったので直ぐに取替えができた。そして金具取替後、元通りに扉が閉まるようになりました。扉中央の隙間が空きすぎないよう、微調整ネジを微妙に動かして、隙間を少なくした上で、扉が水平垂直になるよう調整を行ったのでした。
両扉が閉まることで、滅菌灯のスイッチも入るようになり、本来の家具に修理できました。
金具はスライド丁番本体と受座金具セットで税込800円。出張・取替施工費が税込み5,000円です。
扉同士がぶつかる場合、大抵はスライド丁番の微調整ネジで調整できますが、今回のように修理できない場合は、取替えた金具が違っているのではと、疑ってみてください。お役に立つ情報であれば幸いです。
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